Kyoto Shimbun 1997.10.8 気になるリポート

「電話代が高くつく」ワケ
 電気やガスといった公共料金のなかで最近、高額の電話代に頭を抱える人が多い。ファクスやポケベル、携帯電話、インターネットの通話料を含めると一カ月の支払いが数万円になる家庭も珍しくないそうだ。規制緩和によって電話料金の値下げ競争が過熱するのとは裏腹に、家計のなかで急激に膨らみ始めた通信費の割高感が増している。
(社会部 二松啓紀)


 値 下 げ
 効果なし
あきらめの境地

 京都府宇治市の女性公務員(39)は「高い明細書を見るのが恐くなくなった。もう、あきらめの境地ですね」とぼやく。家族は六人、家の電話機以外に携帯電話三台、ポケベル二台があり、電話料金の請求は月平均五万円前後になる。

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携帯電話やPHSの安売り競争が続くなかで、家
計に占める通信費のウエートは高まるばかりだ 
(京都市下京区四条寺町の携帯電話・PHS専門店)

 「携帯電話の料金が二万円を超えないか、毎月の請求書が来るたびに、ドキっとする。でも、友人と付き合う上で必需品だから、バイトで稼ぐしかない」。京都市上京区に下宿する大学生前田耕作さん(20)も「通信貧乏」がこわい。

 今年七月、総務庁統計局がまとめた最新の家計調査によると、一カ月に家計から支出する通信費(主に電話代)は勤労者一世帯八千三百三十三円(対前年度同月比七・五%増)だった。九二年度平均の六千三百七十七円に比べると、五年間に三割近くも支出が増えている。家計の実収入の伸びは五%余りなのに、である。

 電話代を負担に思うのは一般家庭だけではない。

 環境に調和する建物設計というニュービジネスに取り組んでいる建築事務所役員の青木義照さん(34)(京都市中京区)は「従業員は二十人ながら、電話代は月額で二、三十万円。携帯電話に加え、インターネットやパソコン通信を始めてから急に増えた。将来の経営を考えると、通信費の増大は気掛かりだ」と話す。

 全体として電話料金は下がる傾向にある。郵政省電気通信局の調査では、東京と大阪間の通話料(平日昼間、三分間)は八五年四月は四百円だったのが、現在は百―百十円となった。実に、七五%ほどの値下げ幅になる。

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 携帯電話の値下げ競争もすさまじい。九四年六月に三万円以上もした新規加入料が、昨年十二月に全廃になった。通話料や基本使用料も下がり、各社横並びの状態に近い。

 「一万円札一枚持って来てもらえば、安い電話機なら、本体付きでお釣りが出ます」(下京区四条寺町の携帯電話専門店)という。「一時の激しさはないが、企業の体力が続く限り、値下げ競争はまだ続く」というのが携帯電話やPHSを扱う主要五社の見方だ。

携帯 持ったら離せぬ

 それでも、である。「電話代は高すぎる」という声は、「一度、手にした携帯電話は手放せない」の声と同様に根強い。

 安くなった分、子どもも含めて家族の多くが持ち始めた携帯電話だけでなく、パソコンなどデータ通信の情報機器の普及が電話代の割高感を増大させているのは間違いない。

 NTTは「電々公社時代の料金体系を引き継いでいる面もあり、国際的な基準に見合うよう改善している段階だ。郵政省による認可制もあり、いきなり大幅な値下げを行うのは難しい。一定額を支払えば、電話が使い放題という通信システムの研究開発も手掛けている」と説明する。

 企業経営や家計の動向に詳しい同志社大商学部の松本敏史助教授(会計学)は「本来は、情報機器の発達は社会に活力や潤いを与えるべきなのに、経済的に圧迫されるは本末転倒だ」と指摘する。

 「移動コストのかかる郵便料金や宅配便が全国一律の時代に、狭い日本で電話料金だけが距離によって細かく設定されるのは理屈に合わない」とも話し、一律料金の実現など、国際的にも通用する価格是正を提言している。

通信貧乏さ



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