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(社会部 日比野敏陽)
なぜか“資産扱い”
一般に電話の「加入権」と呼ばれているのは正式には七万二千円の「施設設置負担金」という。電話の設置時は、ほかに八百円の契約料が必要で、合わせて七万二千八百円かかる。この額は二十二年間、据え置かれたままだという。 値下がりしないのは、一言でいえば、「電話加入権が資産として扱われているため」(NTT京都支店企画室の田中英夫広報担当課長)という。 実際、電話加入権は資産差し押さえや相続税の対象にもなり、企業は財務諸表に資産として計上しなければならない。不要になった加入権を購入して別の人に売る「電話取引業」や、電話を担保に現金を貸す「電話金融」、下宿生など短期の利用者に電話を貸し出す「レンタル業者」などが存在するのも、加入権が「資産」として扱われてきたからだ。
その一環として、NTTは昨年七月から、設備設置負担金を無料にする代わりに、毎月の回線使用料に六百四十円を上乗せする総合デジタル回線の販売を始めた。総合デジタル回線は、一本で二回線分が使えて話し中が少なくなり、インターネットやパソコン通信に便利なため、一年間だけで全国で八万六千件もの契約があった。
業者や加入者ら「価格」下落で反発も 京都市上京区の電話取引業「ふじもと」の藤本昇専務は「加入権は三年ほど前は六万円前後だったが、今は四万円前後。東京方面では二、三万円というところもある」と証言する。「どの業者も『在庫』を抱えて飽和状態にあり、新規の買い取りは断っている。もう電話を担保に取れない」と嘆く。 市場価格の下落は、大量の回線を抱えるレンタル業者にも脅威だ。大手「日本テレシス」(福井市)の松波亨哉社長は「電話回線の帳簿価格は十数億円に達している。償却できない資産として税金も支払っているのに」と批判する。 NTTの加入電話は現在、全国で約六千万件ある。「資産」として換算すると四兆円を超す。これだけの国民の資産がいま、事実上目減りしつつあるというわけだ。
加入権は全国に電話網を広げるインフラ整備につぎ込まれ、結果的にNTT自体の事業拡大にも役立ってきた。 その利益をどう加入者に還元するのが公平か。明快な解答のないまま、論争は当分、続きそうだ。
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