| 「マンション管理組合の法人化が進む」ワケ | |||
|
(社会部 深萱真穂)
不透明な世の中
京都市右京区のマンション「ユニハイム四条梅津」(百戸)の管理組合は一昨年十月、法人になった。きっかけは、ある入居者の部屋が競売にかけられそうになったことだ。
「当時、暴力団や宗教団体に対して、マンションからの退去を求める訴訟が社会問題になっていた。競売になると、だれの手に落ちるか分からない。うちのマンションは集会所がなかったので、管理組合で買い取って集会所にしよう、となったんです」。マンションの管理組合法人の加村勉理事長(39)は明かす。 法人化していない管理組合の場合、部屋を買い取っても組合名義で不動産登記できない。理事長名義にすると理事長個人の資産との区別があいまいになるし、全戸で共同名義にするのは非現実的だ。購入費用も、大規模改修を終えた直後だったため、金融機関からの借入を考えたが、法人でない管理組合にはローンを組むのもままならない。
部屋競売や訴訟 資産管理… 臨時総会を開いて法人化を決議した。信用金庫からの借入金で競売前に部屋を買い取り、念願の集会室にした。「法人にすると、役員にどんな責任が生じるのか、事前に多少の心配はあった。現実には、とくにデメリットは感じない」と加村さんはいう。 百七十の管理組合が加入する「京滋マンション管理対策協議会」(京都市下京区)で、法人化した組合はまだ十一に過ぎない。うち三つも、今年に入ってからの法人化だという。 「今の経済状況では、マンションを担保にした借金が返せず、競売にかかる例も少なくない。競売対策で法人化する管理組合は、今後も増えるのでは」と同協議会の谷垣千秋事務局長は予測する。
法人化のメリットは不動産登記だけではない。例えば、管理組合がトラブルに巻き込まれ、訴訟になった時にも、法人にしておけば対策が容易になる。 京都市中京区の「西ノ京スカイハイツ」(二百四十七戸)は今年一月、管理組合を法人にした。「管理費や修繕積立金の滞納に対して、法的にどう対処するかを考えたため」と中川嘉博理事長(55)は説明する。以前にマンションから競売物件が出た経験も念頭にあった。法人化により、司法書士の費用など約十万円がかかった、という。
このマンションでは、管理委託会社の名義だった修繕積立金を組合法人名義の口座へ移す予定だ。不況のなか、首都圏では管理委託会社が倒産し、委託会社名義だった積立金をめぐるトラブルも起きている。かといって、理事長の個人名義では理事長が変わるたびに名義変更が必要となる。悪く考えれば、理事長が流用しないとも限らない。
法人になれば組合名義の口座を開くことができる。「こんな時代だから、お金はしっかりと持っていないと。積立金は本来、組合の持ち物なのだから、管理するのは当たり前」と畠中正理事(48)は強調する。 「具体的な問題が発生しないうちは、法人化のメリットは分かりにくい。しかし、何かあった時は法人の方が対応の幅が広い」と谷垣さんは話す。銀行や大手証券の倒産など、何があっても不思議でないご時世。管理組合法人化の動きは、マンション住民の自衛意識の表れといえそうだ。
管理組合の法人化 三十戸以上のマンションに限られ、総会で全区分所有者の四分の三以上の同意による決議が必要。法人化を決めた総会の議事録を添えて、法務局で登記を行う。理事名や印鑑も登録し、理事が交代すれば届け出が要るが、登録免許税はかからない。 ●●●問題が 生じて分かる メリットかな |