| 「陶芸に魅せられる」ワケ | |||||
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(洛西総局 内田久光)
アマチュア感覚が個性に
京都府長岡京市の陶芸サークル「ひねくり陶友会」は、主婦や会社を退職した男性を中心に五十五人の会員を誇る。年齢層も三十代から八十代までと幅広い。 会員たちは、窯(かま)がある市の中央公民館に週一回集まり、作品を焼く。しかしこの人数が目一杯。ここ数年は、十人前後の入会希望者が絶えず「空席待ち」の状態が続いている。 最近茶器作りに凝っているという同会代表の杉井弘一さん(80)は「四、五十代の女性が特に増えていますね」と、ここ数年の陶芸人気の高まりに驚く。 陶芸にどんな魅力を感じるのか、会員にたずねてみた。長岡京市の主婦(56)は「料理を作る時こんな器があればなあ、とよく思うのですが、売ってる物は使い勝手が悪い。料理に合わせて器を作れるのがいい」と語る。 国道307号沿いに十二軒もの陶芸教室が連なる焼き物のまち、滋賀県甲賀郡信楽町でも「作陶」への熱い思いは高まっている。 同町にある「滋賀県立陶芸の森」では、穴窯を使った陶芸教室を開いている。今年から上級コースを設けたところ、一回七千円の会費にもかかわらず定員の二・五倍もの応募が殺到した。やはり「ここ四、五年陶芸への関心が高まっています」という答えが返ってきた。
陶芸の森学芸員の大槻倫子さん(30)は「ちょうど二年前に陶芸作家の恋愛を描いたテレビドラマがあって、この地でもロケをしたんです」と、最近の人気の「火付け役」にテレビも一役かっている―と推測する。 「主婦向けの家庭雑誌でも陶芸や窯めぐりの特集が近ごろ増えています。『…鑑定団』といったテレビ番組に触発されたここ数年の骨とう品ブームや『いい料理にはいい器を』と言いたくなるグルメブームの影響も大きいんじゃないでしょうか」と分析する。 だが、陶芸へのあこがれはもっと根が深い。焼き物の研究雑誌『陶説』を編集する日本陶磁協会(東京都千代田区)の森孝一さん(47)は、陶器にこだわる人が増える原因をこうみる。 「既製の器に飽き足らなくなった人たちが、個人で器を楽しむようになり、食卓の中にも個性を求めるようになった。若者の服へのこだわりといっしょで、陶器もファッションの一つとしてとらえられている」 戦後、前衛的な焼き物を発信した京都の八木一夫さんたちが『第一世代』の陶芸家とすれば、その後の昭和一けた生まれが『第二世代』、現在の中心が『第三世代』とみる。「ところが、どうも技術の伝承がきちんとできていない。このため現代のプロ作家たちはアマチュアにとって身近に感じられ、ブームを呼んでいる気がする」。カラオケブームと似通った現象が陶芸の世界でも起こっているのか…。 世界に一つだけの器を作れ、自己表現できる格別の喜びがそこにはあり、毎日の生活に密着した実用性も備えている。「個性の時代」といわれるなか、素人なりの良さや作者の人柄がにじみ出た陶器づくりが、中高年の女性らを引き付けてやまない。
●●●作った皿で食べたい |