Kyoto Shimbun 1997.10.23 

 さざ波が織りなす芸術

湖面いっぱいに広がるさざ波が繊細な光と
影の文様を描きだし、大自然の光の芸術を
演出する(滋賀県木之本町飯の浦)   


 賎ケ岳の山上から奥琵琶湖を見下ろして、その美しさに思わず息をのんだ。

 雲間から秋の日差しが降り注ぐと、次の瞬間、湖面が一斉に輝きだした。

 キラッ、キラッ。吹き抜ける風とともに、眼下いっぱいに広がるさざ波が繊細な光と影の文様を描きだし、通りかかった漁船がその上にさらに幾何学文様を折り重ねた。

 大自然が生み出す光の芸術である。

 天正11(1583)年、豊臣秀吉が柴田勝家を破り、全国制覇の基礎を築いた賎ケ岳の合戦

 かつて、戦国の武将たちは、この同じ光景をどんな思いで山上から眺めたのだろうか。

 母なる湖はそんな世俗の栄華盛衰におかまいなく、今日も輝き続ける。


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