Kyoto Shimbun 1997.10.27 

 静けさ降りゆく黄昏時

 はるか対岸の山の端に沈む夕日が、西の空を茜色に染める。  
 琵琶湖の美しい黄昏は昔から変わらない(滋賀県湖北町尾上)

 はるか対岸の山の端に沈む夕日が、西の空を茜(あかね)色に染める。

 ゆっくりと時が流れるなか、浮島(沖の洲)や竹生島の島影が次第に濃くなっていく静けさとスズムシの合唱に送られ、北湖の一日は終わる。

 滋賀県湖北町尾上の港は、昔ながらの琵琶湖の風景を残す数少ない名所の一つである。

 ふだんは静かなこの水辺も、休日には美しい夕日をフィルムに収めようと、関西一円からアマチュアカメラマンが詰めかけ、冬場は野鳥の宝庫としてバードウオッチングの人々でにぎわう。

 黄昏(たそがれ)時は、不思議と人の心を落ち着かせる。昔から変わらぬ琵琶湖の夕暮れ。近江の人々は美しい落日のはるか彼方に、西方浄土を夢みる。


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