Kyoto Shimbun 1997.10.27 

 湖面に輝く光の道

 遠く三上山の上空、澄んだ秋の夜空に輝く
 満月が、美しい光の道を湖面に描く   
 (大津市唐崎から望む)        

 対岸からこちらへ、湖面に輝く光の道ができた―。

 西の空に夕日が沈んでまもなく、澄んだ東の空に満月が、ぼんやりと浮かんでいるのに気づいた。

 松尾芭蕉の句に詠まれ、安藤広重の浮世絵にも近江八景の一つとして描かれた名松のある滋賀県大津市唐崎。

 湖に突き出た松の木陰に立つと、月明かりのもと、対岸正面に近江富士の名で親しまれる三上山、背後に美しい山並みが、影絵のようにうっすらと連なる。

 ほんの少し前、夕日が線を落とした同じ湖面に、今度は月がこれほどまでにまばゆい光の道を描こうとは、だれが想像できただろうか。


 秋の夜空と湖が織りなす透明な青の世界は、見る人を幻想の世界へと誘う。
                      (おわり)


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