京都市右京区梅ヶ畑栂尾町


◆自然と融合した石水院

 国宝・石水院は御鳥羽上皇の学問所を移したもので、13世紀前半に建てられた住宅風建築。ひさしを縋破風で処理する手法は、鎌倉時代の寝殿造りの優雅な面影を伝える。自然と一体となって暮らした明恵上人が住まいとし、日本文化の美の理想像の一つを示すものとされる。

 宝篋印塔、如法経塔は重要文化財建造物。うさぎや猿などの動物を擬人化して世相を徹底的に風刺して描いた国宝「鳥獣戯画」全4巻は寺宝の一つ。作者は鳥羽僧正覚ユウといい、延暦寺の座主となった大僧正。東京国立博物館に出品。

◆明庵栄西・明恵上人

 栄西(1141-1215)は日本臨済宗の開祖。初め比叡山で修行、宋に留学、一旦帰国したが禅によって教界改革を志し再度入宋。旧仏教との協調によって禅の弘通をはかった。鎌倉寿福寺、京都建仁寺を創立。明恵上人(1173-1232)は華厳宗の僧。高山寺を華厳宗中興の道場とした。法然を批判した『摧邪輪』がある。栄西が2度目の留学から帰国の際、明恵上人に土産として茶を贈り、以来茶を飲む習慣が始まったと伝える。日本で初めて茶の木が植えたのは、現在の茶園より少し離れたところ。


 紅葉の名所

 京の西郊は紅葉の名所。栂尾(とがのお)の高山寺、高雄の神護寺、槙尾の西明寺と並ぶ。全山を老松や杉の古木、カエデなどが覆い、昼なお暗い深山の趣き。

 奈良時代に開創された古刹。13世紀初めに御鳥羽上皇の勅願で明恵上人が再建し、高山寺と改称。金堂、阿弥陀堂、十三重塔など中世の戦乱期に荒廃、江戸時代に再興された。


 北山杉の故郷

 鷹ケ峰から清滝川の上流にかけての周山街道沿い山里は北山杉の故郷。室町時代、茶室の用材として使われのがはじまり。冬のさなか、女性が川砂で丸太を丹念に磨きあげて、ようやく美しいつやが出る。川端康成がここを舞台に小説「古都」を書いた。