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太鼓の音に里人の願いをのせ、谷あいを巡行するみこしと担ぎ手

   


8戸の集落 受け継ぐみこし

 ドーン、ドーン。太鼓の音が静寂を破る。京都府美山町の音海谷。みこしと担ぎ手の男たちがトラックにのって、棚田の間から現われた。総出で迎える里人の表情がほころんだ。

 わずか8戸の集落だが、近くの大原神社(同町樫原)の春祭りでは、御旅所役を守り続けている。

 みこしの前の道にさい銭箱が据えられ、豊作や安全を願うかしわ手が、ピタリとそろった。「年がいくと、願い事が多いんよ」

 初めてバチを握り、不安だった東晋也(23)さんは、みこしを喜ぶ人々の姿に「これは受け継いでいかなあかん」と法被の重さを痛感したと言う。

 巡行の仕上げ。神社に戻ったみこしが若葉の下、左右に揺れながら石段を上がる。「腰が入ってへんぞー」。老人が声を張り上げ、高らかに笑った。



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