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水が躍り、田もうるおう。山あいを緑の風がわたる。田植えももうすぐだ

   


水の幕きらめき 田満たす

 うっすらと霞(かすみ)がかかった京都府京北町大野の里。ザーッ、ザーッ。水車が短く変わらぬ間隔で水をくみ上げ、田に入れる。回るたびに、水の幕が朝日を受けてきらめく。

 「これで五代目なんです」。河原林成吏さん(61)は、田植えの準備の手を休め、水車を指さした。大量の水を運ぶため消耗が激しい。来年は新しいものに作り替えるのだという。

 「訪ねてくれた人たちに、里の美しさや風土を感じてもらいたい」と、笑顔で水車へのこだわりを語った。

 春を惜しむようにひっそりと咲いていた名残の桜も今は散り、周囲の山肌は柔らかな緑に変わった。農作業が、水が張られた田で始まった。人々の額に汗の玉がにじむ。短い春が過ぎ、新緑のさわやかな風が波紋を描いた。 (おわり)



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