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40畳の客間に1畳の囲炉裏。赤々と燃える炎と山川の幸が客の心をいやす

   


囲炉裏端 時はゆるりと流れ

 赤々と燃える薪(まき)の炎が、竹串(ぐし)に刺したイワナを遠火でじっくりと焼き上げる。囲炉裏(いろり)の熱と煙は、客の心をいやし、柱や梁(はり)にまとわりつきながら昇っていく。見上げると、天井が黒光りしていた。

 京都府美山町内久保、森茂明さん(62)は、築135年余りの茅葺(かやぶ)き民家で「食事処」を営む。「この辺りで囲炉裏に薪を焚(た)いてる家は、うちぐらいと違うかな」

 調理には、地元で取れる山菜やキノコ、川の幸を使う。奥さんの育子さん(58)が軒下でナメコの佃(つくだ)煮をコトコトと煮る。森さんが魚をさばく。客はゆっくりと時間をかけて田舎の味を舌にのせ、心づくしのもてなしに日ごろの忙しさを忘れる。

 冬が近い。囲炉裏の熱と煙は、雪に覆われた屋根の茅を乾かす力強い守護神となる。



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