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「今日は、ええ炭が焼けとる」。山の窯の前で夫婦の会話が明るく弾む


   


炭焼きの伝統 窯の煙今も

 かつて「鞍馬炭」の産地として有名だった大原百井町(京都市左京区)。伝統を今も守るのは、久保恭一さん(81)と他一軒だけになった。山の炭焼き窯で燃え上がる火を見つめる恭一さん。涼しい夏に、汗が一筋だけ頬をつたった。  

 「刻々と変化する煙の色とにおいで窯の中の状態がわかるんです。土用も過ぎたころから、木の質が炭焼きにようなるんやわ」

 良質で堅い炭を焼き上げるには、窯に空気を送るタイミングと空気の量の調節が何よりも重要だ。鼻の奥がツンとするような、いがらっぽい煙を確かめると「これでひと安心」。

 妻の小夜子さん(76)が冷たいお茶を一輪車に載せて木々の間を上がってきた。のどを潤す2人の空に煙がのぼる。ピーヒョロロロ…、トンビが2羽、その上で何度も輪を描いた。



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