NO4


ひんやりとした土間。早朝、光が差し込むと、甕の藍華は七色に輝く


   


美しい水と空気 藍色引き出す

 分厚いかや葺(ぶ)き屋根が夏のはげしい日差しをさえぎる。20畳ほどの土間はひんやり。埋め込まれた甕(かめ)に藍華(あいばな)が浮き、土間とアトリエは本藍独特の発酵した香りが漂う。

 藍染め作家・新道弘之さん(61)は23年前、制作に欠かせない雑木の灰と美しい水を求めて美山町北のかや葺き民家に移り住んだ。大学の教職を辞し、その決断を家族が支えた。「今思うと、若かったから出来た」

 近年また大学で染織を教える。学生たちに本物の藍を知ってもらいたいと、夏、自宅でスクーリングを開く。

 かや葺きの里や自然の中を歩いてテーマを見つけ、のれんに描くのだ。染めた麻布はきれいな地下水にさらし、青空の下で広げる。藍は山の空気にふれて一気に深まる。役目を終えた藍は畑の肥やしとなり、土に還る。



▲京都新聞TOP▲