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宝石のように色とりどりの虫たちがクヌギの樹液に群がる


   


胸ときめく雑木林の宝石

 京都市左京区の岩倉、遅いセミが鳴き始めた。雑木林にむせ返るような発酵臭が漂う。クヌギが樹液をしたたらせ、カブトムシ、キマダラヒカゲ、カナブンが次々群がる。昆虫の生態を調べる京都大農学研究科の大学院生吉本治一郎さん(24)の目は真剣そのものだ。

 「研究室から近く、昆虫の集まるクヌギが多い」と、ここを研究のフィールドに選んで四度目の夏。「種類、数とも豊富」と喜ぶ吉本さんだが、地元の人は「クワガタやカブトムシは減ってきている」と少しさびしげだ。

 無心で捕虫網を振り、捕って虫に印をつけてまた放す。行動範囲を確認するための標識調査。一匹一匹に注ぐまなざしは、まるで宝物の箱をのぞく子どものようだ。昆虫に魅せられた幼いころの思い出は今、研究情熱となって吉本さんの目をキラキラと輝かせる。



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