Kyoto Shimbun 1998.7.22 [こころの旅]
1泊2日で禅僧生活体験 妙心寺大衆禅堂
日程は原則として、午後六時の茶礼に始まり、六時半から一時間ずつ坐禅、講話、坐禅を繰り返して午後十時に消灯する。翌日は午前五時に起床し、五時半から勤行、六時半坐禅、七時朝食、七時半から作務(掃除)をして午前九時に解散する。男性は禅堂で就寝し、禅僧と同じように「起きて半畳寝て一畳」の暮らしを体験する。 参加者は毎回、男女三十数人から十数人で、半数は常連。京都より高松、岐阜など遠方からが多い。二十回以上連続参加している約十人は、老師との一対一の禅問答にも取り組む。 約十年通っている伊藤伸弥さん(70)=神戸市=は「最近は月に二、三回。最初のころの新鮮な感激は薄れたが、それでも何か引っ張られるものがある」と話す。普通の社寺観光に飽き足らなくなり、七月上旬に初めて坐禅会に参加した銀行員の小久保宏さん(44)=大津市=は「見るとやるとでは大違い。足が痛くて大変だったが、日ごろ、時間に追われる仕事だけに、自分を見つめ直す時間が持ててうれしかった」。 山すそに広い庭を持つ浄住寺(西京区山田開キ町)は、三十年ほど前から毎月第二土曜日の午後三時から同九時と、翌日午前四時から午後五時までの二日間、坐禅会を続けている。近畿一円の三十―五十代の男女や、近所の高齢者たちが参加する。 榊原直樹住職(61)は「人生が思うようにならなくなって試しに始め、長く続く人もいる。現代は自我中心の生き方が普通だが、ここでは、お経をあげて坐ったりするたびに五体投地の拝礼をし、大きな真実の前に頭を下げる。そうした自我を超えた生活の仕方や心を、日常の中でも持ち続けてくれたら」と期待する。 坐禅会には、こうした定期的なもののほか、毎日、坐れる所もある。 通勤・通学前の早朝に 隣好院と龍泉庵 隣好院(左京区上高野釜土町)では、差し支えのない限り、毎日午前六時の勤行の前から一時間ほど、元高校数学教師だった大角孝純住職(71)が本堂で坐禅の仕方を教える。 月三組ほどが訪れ、観光客や、国立京都国際会館を訪れた外国人の参加希望もあるという。同住職は「坐禅は本当は厳しいものだが、初心者が坐ってみたくなったとき、気軽に来て坐禅にふれてもらい、転機になったらうれしい。門はいつも開けています」。 昨年十一月から今年二月まで、若い男性が毎朝訪れ、坐禅と寺の掃除をしていった。「真剣な姿に、こちらがかえって勉強させられました」と大角住職。 大徳寺の塔頭(たっちゅう)龍泉庵(北区紫野大徳寺町)は、水曜日から日曜日まで毎日午前七時前から一時間ほど、松濤諦雲住職(56)が英語を交えながら外国人や日本人に坐禅の初歩を教えている。毎回六、七人から十数人の男女が参加、そのまま勤め先や学校に向かう人もいる。 松濤住職は一般向けの坐禅について「在家の場合、毎日一時間、集中的に坐ればいい。自分の暮らしの中で毎日坐り続けることが大切だ。坐っているうちに、だんだんと気付かされることもある」と語る。 その一方で、一般向け坐禅会を続ける京都市内のある住職は「観光情報を参考に物見遊山気分で坐禅をしに来る人もいて、坐禅の真剣さが壊れる」と嘆いた。禅僧たちの「伝えるからには本格的な禅を」という思いと「少しでも多くの現代人に仏縁を」という思い。坐禅会の周辺からは、観光都市の寺院ゆえの宗教人の悩みものぞく。
【京都市内の一般参加できる坐禅会】
◆天龍寺 (京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町) 第3日曜日の午後5―7時半。無料。8月16日は休み。電話075(881)1235。
◆誕生寺 (伏見区久我本町) 毎月26日の午前10時―正午。千円。電話075(932)4650。
◆相国寺 (上京区今出川通烏丸東入ル) 第2、4日曜日の午前9―11時。百円。8月と年末年始休み。電話075(231)0301。
◆源光庵 (北区鷹峯北鷹峯町) 第1、3日曜日の午前7―9時。入会千円、朝がゆ別途月五百円。8月休み。電話075(492)1858。
◆龍泉庵 (北区紫野大徳寺町) 毎週水―日曜日の午前7―8時。初心者は20分前から指導。志納。毎月1、15、22日と8月休み。電話075(491)0543。
◆大仙院 (同) 毎月24日の午後5―6時。別の土曜坐禅会が原則第4土曜日に。各千円。電話075(491)8346。
◆新徳寺 (中京区壬生賀陽御所町) 原則は毎月8日の午後6時半―8時。8日が土、日曜日の場合は変更。8月休み。無料。電話075(811)6569。
◆東福寺 (東山区本町15丁目) 月1回、日曜日の午前7―8時半(12、1月は午前8時開始)。8月は2―4日午前6時から。無料。11、2、3月休み。電話075(561)4632。
◆建仁寺 (東山区大和大路四条下ル) 第2日曜日の午前8―9時(10―3月は午前9―10時)。志納。8月休み。電話075(561)0190。
◆隣好院 (左京区上高野釜土町) 毎日午前6―7時。無料。事前連絡が必要。電話075(701)5435。
◆南禅寺 (左京区南禅寺福地町) 第2、4日曜日の午前6―7時(11―3月は午前6時半―7時半)。8月と年末年始休み。無料。電話075(771)0365。
◆慈氏院 (同) 原則は第4日曜日の午前10時半から2時間(9―6月は午後1時半から)。五百円。電話075(771)1280。
◆南禅寺専門道場 (同) 第1日曜日の午前8―9時。1回二百円、年二千円。電話075(771)3855。
◆浄住寺 (西京区山田開キ町) 第2土曜日の午後3時―翌日午後5時。土曜日千円、日曜日二千円。このほかに毎日午前4―7時と午後8―9時にも坐禅会(無料)、ともに8月休み。電話075(381)6029。
◆妙心寺大衆禅堂 (右京区花園木辻北町) 毎週土曜日午後5時―日曜日午前9時。初回二千円、二回目以降千円。電話075(463)3121。
◆妙心寺 (同区花園妙心寺町) 毎月6―8日午前6―8時。五百円。電話075(461)5226。
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