探訪 京滋の庭
史跡正道官衛遺跡(京都府城陽市)
▼MEMO

遊歩道には万葉の樹木 句碑添えて

写真
住宅街の中で市民に親しまれている正道官衛遺跡
 住宅街の入り組んだ生活道路を抜けると、密集した家の中にぽっかり開けた空間にたどり着く。追いかけっこをする小学生の笑い声や、高校生が持ち寄ったラジカセの音楽をBGMに、ジャージー姿で姿勢よく歩いていくお年寄りの姿。好天のひとときをそれぞれ楽しむ市民がいる。

 1974年に国の史跡に指定された正道官衙(かんが)遺跡。7世紀後半から9世紀にかけての3つの時期に分かれ、役所跡と見られる掘っ立て柱建物跡が多数出土した。「当時、地方の役所跡として府内最大級だった。文献に残る役所の建物配置などを確かめる上で貴重な遺跡」(市歴史民俗資料館)。城陽市が90年から3年がかりで遺跡公園として整備した。

 東側の入り口から園内に入ると、遊歩道に沿って万葉集に詠まれた30種類の樹木が植えられ、それぞれに句碑が添えてある。ウメやモモ、ツバキなど春を彩る花はす

 公園となった約1万800平方メートルは、同遺跡でpは最も新しい8世紀から9世紀にかけての建物があった区域。百メートル四方ほどの範囲に、執務などを行った中心施設の「庁屋(ちょうや)」やその裏に付随する「副屋」、正門にあたる「南門」など五棟の跡があり、公園化の際に庁屋など3棟を再現した。

 出土した柱穴や同時代の資料から、大きさや構造を推測してできる限り忠実に再現したというが「屋根に関する資料がなく、手入れの大変さもあって」(同館)、柱と塀のみの不思議な構造物となった。それでも南門から正面を望むと、築地塀で庁屋の一部が隠れ、奈良時代の役所の威厳あるたたずまいを感じさせる。

【2001年4月18日掲載】


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