探訪 京滋の庭
六孫王神社(京都市南区)
▼MEMO

池囲む木々 けん騒 忘れる空間

六孫王神社
風情ある石橋がかかる神龍池(京都市南区)
 境内中央の神龍池をまたぐ石橋の上で、しばし立ち止まる。ぼんやりと水面に映った夏の日差しが、水の流れでかすかにゆらめく。石畳を敷き詰めた約50メートルの参道を覆うように、両側から枝を伸ばした木々の葉が陰をつくり、涼しさを演出している。九条通やJR京都駅が近いことを感じさせず、時間を忘れるほど静かなたたずまいだ。

 季節によって見せる表情は実に豊かだ。黄緑色の花を咲かせる参道沿いの「御衣い黄(ぎょこう)桜」は、春の庭を華やかに彩る。池を囲むように、ツツジやイチョウ、サザンカも植えられている。高落秀男宮司(59)は「参拝の人だけでなく、のんびりと散策を楽しむ人も多い」と話す。

 すぐそばを通るJR東海道線と新幹線の敷設に伴い、境内は1960年代までに、およそ3分の1に縮小された。この時に、買収された用地に建っていた弁財天社を神龍池の中に移設し、参道から石橋を架けるなどした結果、こぢんまりと風情ある庭園になった。

 神龍池は庭の中心というだけでなく、神社にとっても特別の存在だ。清和天皇の孫で、神社がまつる清和源氏の始祖とされる源経基が「死後も霊魂は龍(神)となり、この池に住んで子孫繁栄を祈る」と遺言したとの言い伝えが残っている。

 池の中に石を積んで作られた岩場で、カルガモの親子が仲良く休んでいた。7年前からひなが巣立つ夏にかけて、姿を見せるようになった。愛きょうたっぷりの親子のふれあいぶりが人気を集め、今まではカルガモを目当てに訪れる人もいるといい、すっかり神社の「名物」になっている。

【2003年7月23日掲載】


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