探訪 京滋の庭
三上家住宅(京都府宮津市)
▼MEMO

大小の石を巧みに配置 迫力生む

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多くの石を豪快にすえた庭園。かつては迎賓用施設として著名人を魅了した
 豪快にすえられた石が迫力ある景観をつくりだし、紫色のカキツバタと池の水が、あたりをおだやかな雰囲気に包み込む。江戸時代から宮津の迎賓館として使われた三上家住宅には、訪れた多くの著名人を楽しませた庭園が広がる。

 三上家は、廻船業などで財をなした宮津藩屈指の豪商。住宅は、江戸時代中期に自宅兼店舗として建てられ、庭園の美しさと座敷の見事さから、幕府巡見使(宮津藩を視察に来た幕府の役人)の宿に選ばれた。

 その後は宮津の迎賓用施設として利用され、元老の西園寺公望や天皇の親族らも宿泊した。邸内には4人しか入浴していないVIP専用の風呂も残るほどだ。1989年に住宅が府指定文化財になり、昨年は庭園も府指定名勝に選ばれた。

 庭園は、宮津藩御用庭師だった「江戸金」の作とされる。座った位置からが最も眺めが良いとされる「座視観賞」を強く意識した造りが特徴で、約180平方メートルの庭園に大小300余の石を配置している。これほど石が多い庭は、この時期には珍しいとされ、「北前船でもうけた財力を生かして、値の張る石をふんだんに使ったのでは」と言い伝わる。

 市が住宅を買い取り、観光スポットとしてオープンした昨春から、多くの観光客が足を運ぶようになった。石の迫力にはだれもが注目し、特に中央付近の大きな石がライオンの横顔に似ていることから「ライオン石」と評判になっている。

 この住宅の永久徹管理長(53)は「訪れた人の中には、1時間も座敷に座って、くつろいでいる人もいるんですよ」とほほ笑む。かつての迎賓館は今、くつろぎのスペースとして観光客たちに親しまれている。

【2001年5月30日掲載】


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