探訪 京滋の庭
玄宮園(滋賀県彦根市)
▼MEMO

茶や船遊び 大名文化の名残感じて

写真
彦根城の天守閣を背景に、池と茶室の配置が見事な造形美を形づくっている
 ハクチョウが優雅に泳ぐ池の周囲を、観光客がゆったりと散策する。

 彦根城の北東に位置する玄宮園(げんきゅうえん)は、城に足を運んだ人が必ずといっていいほど訪れる、彦根市の中心的な観光スポットだ。

 元は旧彦根藩の大名庭園で、4代藩主井伊直興が延宝五(1677)年に造営した。中国・唐時代の玄宗皇帝の離宮になぞらえたといわれ、池や周囲には「近江八景」を模して、琵琶湖に浮かぶ竹生島や沖島を表現する石を配置、江戸初期の庭園の造形美を見事に表現している。

 池を眺める園内の築山には、藩主が客をもてなすための茶室「鳳翔台」、池の西側には歴代藩主の下屋敷だった「楽々園(槻(けやき)御殿)」もあり、船遊びや茶道をたしなんだ当時の大名の文化的な生活がしのばれる。

 1951年に庭の敷地約2万8700平方メートルが名勝に指定され、現在は彦根市が維持、管理している。年間約50万人が訪れるほか、テレビの時代劇や映画のロケ地としても知られる。

 初夏にはハナショウブ、秋には紅葉と、四季折々の花が観光客の目を楽しませる。九六年には、園内のスズムシやコオロギなどが奏でる虫の音が、彦根城の時報鐘とともに、環境省の選定する「日本の音風景百選」に選ばれるなど、豊かな自然環境も備えている。

 ボランティアでガイドを務める平居圭子さん(66)は「広くはないけど落ち着いていて、日本三名園にも負けない良さがある。茶室や船着き場がほぼ当時のまま残っていて、大名文化の名残を感じ取れる庭です」と解説する。

 庭の真ん中で耳を澄ますと、いまにも江戸時代の大名たちの息づかいが聞こえてきそうだ。

【2001年6月13日掲載】


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