探訪 京滋の庭
  徳雲寺(京都府南丹市)
▼MEMO

手水鉢の四隅 フクロウの彫刻を施す

写真
落ち着いた庭に溶け込む手水鉢。四方にフクロウの彫刻が施されている
 京都府園部町のJR園部駅の西口から町に足を踏み入れる。駅の西側になだらかに続く丘陵地では宅地開発が進む。一昨年開校の園部第二小前に立つ寺名を示した石柱に沿い一本道を行くと、山のすそのに徳雲寺が見えてくる。モノトーンな風情のせいだろうか、空気もどことなく涼しげだ。

 徳雲寺は園部藩主小出家の菩提(ぼだい)寺で、藩内曹洞宗の本山として栄えた。南北朝時代の1385年、当時、この地に勢力を張った豪族の荘林(しょうばやし)氏が道元禅師九世の法孫・希曇(きどん)和尚を招き、創建したと伝わる。

 竜宮造りの唐門をくぐると、大きくはないが、落ち着いた感じの江戸期につくられた禅式の庭がある。藩主の御廟所にあった灯ろうなどが移され、彩りを添えている。

 なかでも興味深いのが、四隅にフクロウの彫刻をほどこした石づくりの手水(ちょうず)鉢。初代藩主の小出吉親(よりちか)が出石(いずし)から移ってきた時に持ってきたとされ、極めて珍しい彫り物という。先代住職の妻の諸岡道子さん(82)は「昔、小出家のおばあさんが『夜になると、ホーって鳴くでしょ』と、冗談をおっしゃっていました」と懐かしむ。

 「そんなに大きくはありませんが」と案内してもらった中庭も面白い。池の中に石を組み合わせて仕立てた亀がいて、その背に石のカエルがちょこんと乗っている。ただ最近では修復してもすぐに崩れてしまうそうだ。

 寺の後ろにある、塩田山。最近、屋根がふきかえられた本堂の横から続く道の先には小出家の姫御廟所として多数の法塔が建つ。「昔は徳雲寺に行くのは怖いといわれたくらい、周囲には何もなかったんですよ」と諸岡さん。時の流れが違うような気がした。

【2001年7月1日掲載】


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