探訪 京滋の庭
天龍寺庭園 (京都市右京区)
▼MEMO

色付く木々 引き立てる雄大な借景

写真
曹源池を中心に木々や山並みが美しい天龍寺庭園
 天龍寺庭園は1339(暦応2)年、臨済宗の僧であり、すぐれた作庭家でもあった夢窓国師(疎石)が寺を開いたのと同時に作った。

 庭を観賞するには、大方丈の廊下に座るのがいい。池の正面には、石で組まれた三段の滝が望める。「く」の字型の滝の中段には鯉が滝を上っているかのように見える石がある。滝の下には、平たい三枚の石で組まれた橋が架かっており、それぞれ禅修行に必要な三つの要素という師匠と環境、本人の意志を表している。

 橋の手前の池には三角にとがった形の石と、丸い四つの石が浮かんでおり、仙人の住む蓬莱山をイメージしている。

 禅寺にとって、庭は修行に欠かせない空間だ。特に夜座(やざ)という深夜の座禅を組むとき、静寂とやみ夜に包まれた庭は、雲水を包み込む小宇宙となる。

 「嵐山の縁に月がかかると、庭がパーッと照らされる。雪の降りしきる夜には、しんしんと音が聞こえる。ものすごく雄大な気持ちになる」

 臨済宗天龍寺派の栂承昭・宗務総長は語る。目の前に広がる光景は660年前の創建時から姿を変えていない。

 秋本番を控え、庭の紅葉は日ごと色付いている。秋晴れのもとでは朱色に輝き、雨の日はしっとりとした赤みを帯びる。背後の山々やタケやカシの青さがより引き立てている。

【2001年10月10日掲載】


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