探訪 京滋の庭
金地院「鶴亀の庭」(京都市左京区)
▼MEMO

禅宗寺院に 意外な華やかさ

写真
禅寺の庭園だが、豪快で華やかな雰囲気に満ちている
 金地院は南禅寺塔頭の一つで、順路に沿って境内をひとまわりした後、大方丈を見学する。大方丈の前に座ると、広々とした「鶴亀の庭」が眼前に広がる。江戸初期に完成した庭で、禅宗寺院の庭園としては意外なくらい華やかな雰囲気に包まれている。

 向かって右側のやや固い感じの石組みは、巣ごもりのツルの姿を表す「鶴島」。「亀島」と呼ばれる左側の柔らかい感じの石組みは、海にもぐろうとしているカメを表すという。その間に点在する石は仙人の住む島を、中央の斜面に配された岩は蓬莱連山を、かたどっている。

 背後の樹木は常緑樹を選んでいて、庭全体に不老長寿を願う気持ちが強く表れている。中国の道教の影響を強く受けていて、不老長寿は徳川幕府の永続を願う気持ちにつながるという。

 三代将軍徳川家光が上洛した時に見てもらおうと、当時の南禅寺住職、以心崇伝が小堀遠州に造らせた。1627(寛永4)年から五年がかりで完成したものの、完成直後の1633年1月に崇伝が死去。家光も崇伝も、美しく豪快なこの庭を見ることはなかった。

 幾何学的な庭づくりが得意だったという小堀遠州の持ち味が発揮されていると言われる。庭の背後にある東照宮と前方の大方丈の両方を拝める場所に置かれた遥拝石と呼ばれる大きくて平たい石。完成当時は東照宮が見えるように低く刈り込まれていたという常緑樹など、すべて綿密に計算され、バランスよく配されている。

 訪れた観光客たちは、庭を一望できる大方丈の前に座って、静かなひと時を過ごす。全体の眺めを堪能した後、亀島の上にそびえる松や、大海を表すという一面の白砂などに視線を移せば、飽きることなく数十分がすぐに過ぎてしまう。

 「亀島の上の松は枯れた雰囲気を楽しむもの。この庭ができて約400年ですが、あの松は樹齢700年という古木。華やかさの中にわび、さびを表しています」。佐々木玄龍住職が教えてくれた。

【2002年2月6日掲載】


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