探訪 京滋の庭
羅漢山大心字庭(京都府綾部市)
▼MEMO

大きな心で街を見守る18の石像

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釈迦と18体の羅漢像が綾部の街を見つけ続ける
 由良川の豊かな流れを見下ろす風光明美な紫水ケ丘のすそに、「丹波の羅漢さん」として知られる臨済宗の禅寺、宝住寺はある。羅漢山大心字庭は、白木が美しい本堂の裏手の斜面に広がり、岩場に配された18体の羅漢像が、綾部の街を見守り続けている。

 羅漢山を山号に持つ宝住寺は、室町後期の永正年間(1504−1521年)に創建されたとされ、度重なる由良川の洪水に苦しむ地域住民の信仰を集めてきた。創建時は由良川沿いにあり、後に現在地に移された。岩が多い土地で、河野義海住職(75)が1964年に着任した時には、170年ほど前に再建された本堂と「磊磊(らいらい)園」と呼ばれた質素な石庭があるだけだった。河野住職は「山号にふさわしい羅漢場を設けて、心のよりどころにしてもらえれば」と思い立ち、檀家と協力して大心字庭を整備した。

 斜面の急傾斜と磊磊園の自然石をそのまま生かした庭は、広さ約500平方メートル。中央に釈迦の石像を据え、周りに、つえや巻物を持ったり、竜やトラを従えた十八体の羅漢石像が斜面を背にして配してある。庭の周囲は紅白のサザンカで囲まれ、コケむした石の間にマツやツツジの緑が映える。最上部には、「大きな心を」と願って、庭の名につけた「大」と「心」の字がサツキで描かれており、平地の庭とはひと味違う趣を見せている。

 庭の中には、すべての石仏を歩いて巡ることができる通路も設けられており、舞台のようにせり出す岩肌の表面や、きれいに刈りそろえられたツツジやサツキを間近に見ることができる。

 河野住職は「春にはツツジが庭に彩りを添えます。遠くから眺めたり、羅漢に手を合わせて、大きな心を持ち続けてもらいたい」と話す。

【2002年2月20日掲載】


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