探訪 京滋の庭
浄瑠璃寺(京都府木津川市加茂町)
▼MEMO

障子外すと水面に映る阿弥陀の顔

写真
浄土世界を表す象徴の本堂前に広がる池
 昔ながらの自然を残す京都府加茂町当尾地区。石仏が並ぶ道を抜けると、浄瑠璃寺がある。

 寺の創建は1047年。約2000平方メートルの池を中心にした庭園は、これより100年ほど後に、興福寺の僧・恵信が池を掘り石を立てて築いたという記述が、寺の歴史を伝える文書に残る。

 現在、池を挟んで西側には九体の阿弥陀如来像をまつった本堂(国宝)、東側には薬師如来像を安置する三重塔(国宝)が、ちょうど向かい合う形に並んでいる。本堂は池が作られてから七年後、三重塔はその後に移設されたという。

 佐伯快勝住職は「本堂の前の池は、阿弥陀さんの浄土世界を表す象徴であり、藤原時代の寝殿造りの特徴的な形式です。恵信は寺にふさわしい池を作ったうえで、建物の配置を変えたのでしょう」と考える。

 建物の配置については、こんな話もある。極楽浄土の阿弥陀如来は、池の対岸の東から拝むのが習わしだが、そうすると如来像は体の部分しか見えない。ところが風のない静かな夜、本堂の灯明をつけて障子を外すと、水面に阿弥陀の顔が映るのだ。

 「水面に阿弥陀が映るということは、間接的に、自分も阿弥陀さんに見てもらっているということ。昔の人は、仏とつながっている、という感覚を持っていたのではないでしょうか」と佐伯住職。

 仏の世界を表した庭を彩るのは、春の馬酔木(あしび)や桜、ツバキなどの花々。初夏には、池の周りにアヤメやハナショウブが咲き乱れ、秋には紅葉が三重塔に映える。野生の植物をできるだけ残したという庭を時間をかけて歩き、楽しみながら、眺めていく人が多い。

【2002年2月27日掲載】


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