探訪 京滋の庭
三徳苑(滋賀県大津市)
▼MEMO

何げない四季の美に懐かしさ

写真
日本家屋にある普通の庭をイメージした「三徳苑の庭」
 滋賀県大津市大石龍門の丘陵地ある和菓子工房「三徳苑」。約20万平方メートルの敷地を持つ和菓子工房兼庭園「寿長生(すない)の郷」の中心にある。

 瓦葺きの屋根の門をくぐると、約300平方メートルの長方形の庭園が広がっている。敷き詰められた白い砂利が春の陽光に映え、チャボヒバとモチノキ、しだれ桜が緑の葉を揺らしていた。訪れた人は庭の回廊を通り、心を穏やかにして奥の茶室で和菓子を味わう。

 この庭は「日本家屋にある、普通の庭」をイメージしてつくられたという。ここにたたずむと、忙しい日常を忘れ、ふと懐かしい気持ちがよみがえる。そんな何気ないもてなしがねらいだ。

 どの季節にも美しく見えるよう工夫されている。チャボヒバの木は高さは約3メートル。あまり成長せず、四季を通して青い葉をつけるため、11本ずつ五カ所に分けて植えている。庭には富士山麓から運んだといわれる大きな石や灯ろう、しだれ桜などがある。が、何度来ても楽しんでもらえるように、チャボヒバがそのいずれかを隠し、庭全体を見ることができない。

 寿長生の郷は1985年、豆やウメなど、敷地内で栽培した原料で和菓子を作り客をもてなすそうと、自然豊かな大石につくられた。「三徳苑」は、裏千家15代家元が「天の時、地の気、人の和」を重んじ、客をもてなすよう命名したという。

 苑の隣にある梅林には1000本の城州白梅があり、春には観賞して楽しみ、毎年取れる約10万トンの実は菓子づくりに使われる。梅林のほか、「椿木苑」には250本のツバキが、「牡丹苑」には2500株のボタンが、2−5月に色とりどりの花を咲かせる。

【2002年3月13日掲載】


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