探訪 京滋の庭
法金剛院(京都市右京区)
▼MEMO

四季折々の花咲き誇る浄土の世界

写真
四季折々の花や実で彩られる法金剛院の庭園
 丸太町通に面した門を一歩くぐり抜けると、都会の音は遠のき、鳥のさえずりが絶え間なく聞こえてくる。

 法金剛院は平安時代の末、大治五(1130)年に、鳥羽天皇の妻待賢門院が復興した。中央には、極楽浄土をイメージして造らせた池泉回遊式の庭園がある。

 池の周りを歩く。いま梅の淡い花びらが、深い緑の苔(こけ)にひときわ映え、アセビがかれんに花開いている。冬につけたセンリョウやマンリョウの赤い実を小鳥がついばむ姿も見られる。

 「ハスの寺」とも呼ばれる。7月中旬から約1カ月の間、ハスが鉢植えのほか、池を覆うように広がり、白やピンクなどの花をつける。ざっと90種類。この時期は開門を朝六時半に早める。

 「華麗でもあるが、壮快さも感じる」「お釈迦様の生まれた極楽浄土を象徴するハスに囲まれて感無量です」。本尊の阿弥陀如来像のそばに置かれた一冊のノートに、全国各地からやって来た旅人たちが感動を書き残している。

 春の彼岸ごろの約2週間、庭師たちが裏山から腐葉土を運び、泥んこになりながら、一鉢ずつハスの植え替えにあたる。夏の華やかさは、この地道な作業のたまものだ。

 池の北側には、僧の林賢と静意が手がけた「青女の滝」がある。巨岩を配した人工の滝だ。花ショウブに囲まれる梅雨の季節にだけ水が流れ、秋は紅葉に包まれる。

 四季折々の花や実が庭園を彩り、「関西花の寺第十三番霊場」として名高い。

 まもなく待賢門院ゆかりのしだれ桜が咲き誇る。「開花は例年なら4月上旬だが、今年は暖冬の影響でもう開き始めた」と川井戒本住職(79)は話す。

【2002年3月20日掲載】


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