探訪 京滋の庭
府立陶板名画の庭(京都市左京区)
▼MEMO

新緑の北山 水面越しに名作を鑑賞

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泡立つ滝に囲まれるように陶板名画が飾られる園内(京都市左京区)
 京都・北山通は、大路小路の街並みとは全く異質の空間が魅力だ。中でも薫風の季節が最も輝く。府立植物園からあふれ出る木々と街路樹の新緑が重なり、鴨川から霊峰・比叡へと風が抜けていく。

 その一角。植物園北門の東隣に府立陶板名画の庭がある。

 庭とは言え、京に数多く残る日本庭園とは違い、コンクリートで造形される。北山通だからこそ、モダンな外見が自然に溶け込む。建築家の安藤忠雄氏が設計した。

 世界的な名画を忠実に再現した陶板画を展示するため、1994年にオープンした。主役はもちろん八枚の絵画だが、名作をより楽しんでもらうおうと、庭園そのものに工夫が凝らしてある。

 鳥の目になれば、回廊が池の中に浮かぶヨットのようだ。入り口から約60メートルまっすぐに通路が延び、左右の池をまたぐ。左手の水中に、陶板に描かれたモネの「睡蓮・朝」が横たわる。透き通った水面越しに名作を鑑賞する心憎い演出だ。

 突き当たると正面に滝がある。滝の壁面にはでこぼこが施され、流れ落ちる水は泡立ち、曲がりくねる。絵画とは対照的に動くオブジェを楽しませてくれる。その横にはミケランジェロの「最後の審判」が原寸大(高さ14メートル、幅13メートル)でそびえる。

 ここから回廊は下り始め、最下層の広場に着く。両側の滝の水音が反射し合い、下界の騒音を消す。見上げると滝の上にはケヤキの新緑。自然に包まれて芸術と対峙(たいじ)できる。

 「外国人観光客の中には、一時間近くベンチに座っている人もいます」。管理を任されている府立植物園協力会の山下茂さん(61)は「ビューティフル」の賛辞を楽しみにしている。

【2002年5月1日掲載】


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