探訪 京滋の庭
京都府立総合資料館(京都市左京区)
▼MEMO

玉石と小石「天橋立」巧みに表現

写真
天橋立を模した中庭。上階からの眺めを意識して設計されている
 京都府立植物園の豊かな緑を西に望む府立総合資料館。薄暗い玄関口から奥に進むと、初夏の陽光が差し込む中庭が見えてくる。

 手前に設けられた石庭は、整然と並べられたこぶし大の玉石と、熊手でなだらかな波紋を刻んだ小石が、美しいコントラストをつくり出している。その背後には、こけむした盛り土の上に、高さ2メートルほどのクロマツ12本が一直線に植わっている。

 この中庭は、日本三景の一つ「天の橋立」を模したことで知られる。1963年の開館に合わせ、故関口^太郎・京都大名誉教授が設計し、府造園土木協同組合が施工した。

 手前に配した石庭は海面にあたり、石の大きさや色合いで、海の深浅を表現している。橋立にあたる松並の背後には、山をイメージした貴船石が配置されている。

 天橋立といえば、成相山、大内峠、栗田峠の3カ所から眺める景色が最良とされ、これらを総称して「三大観」と呼ぶことで有名だ。同館の場合、図書閲覧室などが設けられた3階からの眺望が、もっとも三大観に近い。資料調べの手を休め、中庭を眺めて目の疲れを癒やす利用者も多い。

 資料集めに訪れていた京都市山科区の会社員近藤さや子さん(27)は「学生時代からよく利用している。眺めていると、気分が落ち着くデザインですね」と中庭にそそぐ目をなごませる。

 同館も「国宝の東寺百合文書と重要文化財の府の行政文書に加え、この中庭も売りの一つ。将来的に、中庭をじっくり鑑賞できるスペースを設けたい」と、利用者により親しまれる仕掛けづくりを考えている。

【2002年6月19日掲載】


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