探訪 京滋の庭
友禅苑(京都市東山区)
▼MEMO

華頂山背に宮崎友禅にちなみ造園

友禅苑
友禅染の始祖とされる宮崎友禅の生誕300年を記念して造園された友禅苑
 国宝・知恩院三門の南に広がる。木造の門としては世界最大のスケールを誇る高さ約24メートルの三門が見える位置に配された池には、コイがゆう然と泳いでいた。モミジやマツなどに囲まれた池の中程に石造り三段構えの台が据えられており、その上に彫刻家高村光雲作の聖観音像が安置されている。

 京都を代表する伝統産業となった友禅染の始祖とされる宮崎友禅の生誕300年を記念して1954年に造園された。江戸時代中期、宮崎友禅が知恩院の近くに暮らし、扇面絵師として活躍したという歴史にちなんで京都の染織業界の関係者が力を結集して取り組んだ記念事業だった。

 庭園は、東山三十六峰に連なる華頂山を背にしている。知恩院総務部の吉田徹心さん(30)は「宮崎友禅翁は、季節ごとに表情を変える華頂山を見上げ、デザインを考えることもあったのでしょうか」と話す。

 山の清水を引き入れた「染糸の滝」や茶室「華麓庵」も配された庭園の中央には、宮崎友禅の銅像が設置されている。毎年秋になると、京都の染織業界の関係者でつくる宮崎友禅翁顕彰会が銅像前で謝恩祭を営み、和装業界の発展を誓い合ってきた。今年は11月8日に謝恩祭が催される。

 ふだんは非公開だが、四季折々の行事に合わせて一般に公開されてきた。今秋は知恩院のライトアップがある11月9日から12月1日にかけての公開がすでに決まっている。知恩院は「紅葉に包まれた国宝の三門や東山の自然と調和した庭園がライトに浮かび上がり、昼間とはまったく違う世界が広がる」と拝観を呼びかけている。

 観光の季節。友禅染の始祖にちなむ庭園は、秋の装いで来園者を待っている。

【2002年10月2日掲載】


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