探訪 京滋の庭
朱雀の庭(京都市下京区)
▼MEMO

自然豊かに 伝統と創生 調和めざす

朱雀の庭
園内の風景を映し出す池「水鏡」。花壇に植えられた四季折々の花が彩りを添える
 水しぶきをあげる滝、木々が生い茂る渓谷…。鳥が集い、人々が憩う自然豊かな庭園は、実はほんの数年前まで、コンクリート造りの荷降ろし場と線路が並ぶ旧国鉄の貨物駅だった。

 1990年代初め、駅の廃止に伴って京都市が土地を買い、建都1200年に合わせて、敷地に土を積み整備した。要した土の量は、隣接する梅小路公園を含めて15万立方メートル。うち12万立方メートルは、地下鉄東西線工事で掘り出した土を活用した。

 庭園の名称は、平安京を南北に走っていた道路「朱雀大路」にちなんだ。古式ゆかしい名前の通り、約3000平方メートルの園内には、50種類・約4000本の樹木を配し、草地の丘を設けるなど自然美を強調している。

 園内を一巡する回遊路は、車いすの入園者に配慮してバリアフリー化してある。なだらかな通路を進むと、まず目に入るのが、庭園の風景を映し出す池「水鏡」だ。底に1メートル四方のインド産黒御影石を敷き詰め、水深1センチに水を張った池は、文字通り鏡のよう。コサギやメジロなどの野鳥も翼を休めている。

 池のほとりには、ガラス製の水上舞台と大型花壇がある。一見、周囲の風景と不釣り合いにも感じるが、伝統的な造園技術と共に新しい趣向を取り入れ、「伝統と創生」の調和を目指したそうだ。

 庭園の設計にもかかわった市都市緑化協会の藤井俊志業務課長(47)は「春はペチュニア、秋にはパンジーといった具合に、四季に応じて花だんの花を植え替えている」と笑顔で話す。

 落差6メートルの滝や丘を流れる幾筋もの小川を眺めながら回遊路を進むと、隣接する復元型ビオトープ「いのちの森」(6000平方メートル)に入った。庭園の回遊路から続く地上高4メートルの通路「樹冠回廊」からは、鳥の視線で木々を眺めることができる。

 「川にはメダカやカワニナもいる。環境学習に訪れる児童も多い」と藤井さん。入園者の心をいやし、生き物たちの命をはぐくむ庭園は、都会の貴重なオアシスになっている。

【2002年11月27日掲載】


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