探訪 京滋の庭
善峯寺(京都市西京区)
▼MEMO

せせらぎの音聞こえる「西方浄土」

善峯寺
地面をはうように伸びる「遊龍の松」 樹齢600年を超えた今でも成長を続ける
 地面をはうように松の幹が伸びる。樹齢は600年以上とされ、全長は40メートルに及ぶ。わらぶきの多宝塔や経堂の前で、龍がたわむれるように見えることから「遊龍の松」との名が付いた。1932(昭和7)年に国の天然記念物となり、「日本一の松」として寺の名物になっている。

 京都・西山の中腹にある西国二十番札所の善峯寺は、約3万坪の境内を誇る。寺全体が山の傾斜を生かした回遊式の庭園になっており、ゆっくり散策すると、一周するのに1時間はかかる。晴れた日は、比叡山や桂川など京都盆地の眺望も抜群だ。

 善峯寺は1029(長元2)年、比叡山で修行した源算上人が開いた。寺の場所は、京都御所を挟んで比叡山の対角線上の南西の地にあたる。「西方浄土」を意識して作られたそうだ。応仁の乱の兵火で一時は荒廃したが、徳川五代将軍、綱吉の母・桂昌院の寄進により再興された。

 庭は、平安神宮の作庭などにあたった小川治兵衛が大正から昭和初期にかけて整備した。境内のあちこちに池や滝、水路を配し、西山の山水を引いて水の流れを強調した。境内の多く場所で、耳を澄ませば、せせらぎの音が聞こえ、心を和ませる。

 四季折々の花も魅力だ。遊龍の松の西側には枝垂れ桜とカエデが重なり合うように育つ「合体木」がある。幼少期を善峯寺で過ごした桂昌院が後年に植樹した。掃部光昭副住職(50)は「根本もほぼ同じ所だから本来はどちらかが枯れるが、春の桜、秋の紅葉はどちらも見事。共存の精神を教えてくれる木です」と説く。

 2年前から整備を進めるアジサイ園には、約3000株のアジサイを植えた。標高が400メートルほどある場所で、市街地より涼しいだけに、見ごろも7月中旬まで長続きするそうだ。梅やヒラドツツジ、ボタン、茶花として珍重される「秋明菊」など季節を通じて何かしらの草花が楽しめる。

【2003年1月15日掲載】


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