近江の歴史 -7-(完)
桜田門外の変 滋賀県誕生
飛行第3連隊 大津事件
琵琶湖疏水 琵琶湖大橋



 桜田門外の変

 桜田門外の変  幕末の世情は騒然としていた。日本に対する西洋諸国のさかんな開国の強要にとまどい、国内の尊王讓夷論や国学の振興が討幕論に発展し、幕閣がなすすべもなく混乱を重ねていた時代に、井伊直弼は大老職を引き受けた。埋木舎に300俵の捨扶持で彦根牛といわれた直弼が大老になると、通商条約調印に直面した。勅許を願いでたがなかなか返事がなかった。ついに無断調印をした。そこで、反対派が不穏な行動にでた。直弼は討幕を計画した梅田雲浜・橋本左内・吉田松陰・頼三樹三郎らを捕え、死罪にした。これを安政の大獄という。

 万延元年(1860)3月3日の朝、直弼が登城のため、楼田門にさしかかると、水戸の浪士が飛び出して大老の首をはねた。雪の日であったという。これが、桜田門外の変で、江戸末期の最大の事件であった。



滋賀県誕生



現在の滋賀県庁舎

 滋賀県誕生  徳川慶喜が慶応3年(1867)10月14日に大政を奉還して、明治維新を迎えると、大津裁判所が近江と若挟を支配したが、明治元年(1868)4月には、大津県・彦根県・水口県・西大路県・山上県・宮川県・朝日山県となり、旧藩主を知藩事とした。しかし、廃藩置県が進んで、明治4年(1871)に大津県と長浜県に統合し、さらにその翌年大津県を滋賀県と改称し、長浜県を合併、松田県令のもとで滋賀県が発足した。明治8年(1875)には籠手田安定が県令に就任し、維新直後の県政を担当した。

 このころ、東海道線の工事が進められ、明治13年(1880)に逢坂山トンネルが開通し、明治17年(1884)に柳ケ瀬トンネルも完成した。続いて、草津線や近江鉄道もでき、江若鉄道も開通した。明治23年(1890)に完成した琵琶湖疏水は日本最初の大運河工事であった。



飛行第3連隊



格納庫での飛行機の修理風景

   飛行第3連隊  大津の園城寺北院跡に歩兵第9連隊があり、明治10年(1877)の西南の役に初出陣してから、日清、日露の戦いに出征したが、のちに伏見に移された。終戦後ここに、しばらく進駐軍がいた。一方、八日市市に飛行第3連隊があった。大正3年(1914)に萩田常三郎は郷土の訪問飛行をやり、それが動機となって、八日市飛行場の開設となった。ところで、萩田氏は事故死したが、横畑町長や熊木九兵衛らの尽力で、滋賀県飛行会ができ、飛行学校を設立。同校には中国革命の父・孫文の頼みで、中国から飛行技術を習得に来た歴史もあるが、いろいろ曲折を経て飛行第3連隊に発展した。敗戦を迎えて、飛行場は農耕場に変わり、現在は住宅地となった。



大津事件



事件を伝える「日出新聞」(京都新聞の前身)の紙面(明治24年5月12日)

 大津事件  明治24年(1891)5月11日に、大津を訪ねたロシアの皇太子ニコライ・アレクサンドロピッチ殿下が、ギリシャのジョージ親王と、三井寺に参拝し、滋賀県庁で休憩のあと、列をととのえて再び京都へ向った途中、京町通り小唐橋町にさしかかったとき、突然、警護にあたっていた守山署勤務の津田三蔵がサーベルを抜いて、ニコライ殿下に斬りつけた。殿下の傷は軽かったが、国賓を傷つけたことで大騒ぎとなり、明治天皇はすぐ京都へ来て、殿下を見舞った。津田は「無期徒刑」の判決がくだって北海道の監獄で病死したが、津田の裁判において、司法権の独立を守った大審院判事小島惟謙の論旨は後世に有名となった。



琵琶湖疏水



南禅寺近くを流れる琵琶湖疏水(水道橋・京都市左京区)

 琵琶湖疏水  大津市三保ケ崎から山科・蹴上を経て京都市内に通じる運河。全長11.1キロ。京都府が総工費125万円をかけて明治18年(1885)に着工、明治23年(1890)に完成した。現在なら2兆円の大プロジェクトである。着工に当たって滋賀県側では「琵琶湖の水がなくなる」「井戸水が出なくなる」などとして反対の声も多かったが、完成後は琵琶湖周辺と京都を結ぶ舟運の大幹線として、京都だけでなく滋賀の産業振興や近代化に大きな役割を果たした。



琵琶湖大橋




 琵琶湖大橋  太平洋戦争が終わり、滋賀県の目標の一つに観光があった。昭和24年(1949)に琵琶湖八景が制定され、東海道線の電化、比叡山ドライブウエーの開通、名神高速道路などが次々にでき、大中の湖南遺跡・服部遺跡の発掘などでも脚光をあびた。昭和39年(1964)には琵琶湖大橋が完成して、一段と観光客がふえた。大橋は守山と堅田を結ぶ1350メートルで、総工費14億3000万円をかけた有料橋である。夢の架橋といわれ、観光はもちろん、生活と産業のための湖東と湖西を結ぶ通路として利用されている。続いて湖西線完成、新しい滋賀県の顔になった。また昭和55年(1980)7月1日から、琵琶湖富栄養化防止条例が実施され、湖の浄化運動で全国的な関心を集めている。

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