インデックス

出席者

府立植物園長
松谷 茂さん
まつたに・しげる 京都大大学院で森林生態学を専攻。4年前から園長。「園長さんとの気まぐれ散歩」やライトアップなど新企画で入場者数を伸ばす。
比較文学者
光田 和伸さん
みつた・かずのぶ 国際日本文化研究センター准教授(古典文学)。著書に『恋の隠し方―兼好と「徒然草」』『芭蕉めざめる』など。
日本画家
森田 りえ子さん
もりた・りえこ 四季の花や女性像を得意とし、川端龍子大賞展大賞などを受賞。京都迎賓館に作品制作。金閣寺方丈の杉戸絵、客殿天井画を描く。
歴史学者
高木 博志さん
たかぎ・ひろし 京都大人文科学研究所准教授(日本近代史)。著書に『近代天皇制と古都』『近代京都研究』(共編著)など。
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(下)桜のイメージ 転機は近代

ソメイヨシノ影響大

 光田 門出、新生活のイメージでいうと、江戸時代は寺子屋の入学は2月の初午(はつうま)の日。春の半ばに入学するという伝統があった。それが桜の季節に入学する背景になったのかもしれない。芭蕉七部集の「阿羅野(あらの)」に「きょうだいの いろはあげけり 花のとき」という句がある。初午で入学し、ひと月ほどで兄弟が仮名を読み書きできるようになったのをほめた句だろう。桜と入学にかかわる庶民レベルの意識を詩歌で表した早い記録ではないか。

 −明治時代初めは学校は9月始まりだったというが。

 高木 明治時代半ばに小学校は9月から4月始まりに統一され、その後高等学校や大学も春入学になり、新学期や新生活と桜の季節が結びついていく。

 光田 桜の景観の激変は唱歌にも影響している。ソメイヨシノは実がつかず、花の蜜もない。唱歌「ちょうちょう」で「菜の葉に飽いたら桜にとまれ」とあるが、ソメイヨシノにはチョウが来ない。でもヤマザクラには来る。京北の常照皇寺の九重桜にチョウが群れ飛ぶのを見て感動したことがある。テレビで「『桜にとまれ』の歌詞は間違い」と言うのを聞き、憤慨した。

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