Kyoto Shimbun 1998.12.7「京都・より道スポット」

 堀野記念館

 造り酒屋の歴史伝える

photo
酒蔵にずらりと並ぶ仕込み樽(たる)などが、かつての京の酒造りをしのばせる

 切子格子やむしこ窓を配した旧堀野家本宅は、堺町通に面して風格のある構えを見せる。いかにも京町家というたたずまいだ。「京仕込」と染め抜いたのれんをくぐると、内部は幕末から明治にかけての京の造り酒屋と町家文化を伝える博物館に改装されている。

 堀野家は代々、造り酒屋を営み、この地で1781(天明元)年に創業した。明治になって「キンシ正宗」の銘柄が好評を博し、広い土地と豊富な水を求め、本拠を伏見へ移転後は当主の居宅となっていた。建都1200年記念事業で始まった京町家を訪ね歩く「文遊回廊」で公開したのをきっかけに1995年7月、記念館に衣替えされた。

 間口26メートル、奥行き30メートルの広い敷地には、切り妻造り段違いかわらぶきの主屋のほか、文政3(1820)年の棟札が残る「文庫蔵」をはじめ3つの土蔵が建つ。酒蔵には、古文書のほか、大きな仕込み桶(おけ)や木製の酒搾槽(さけしぼりぶね)など、酒造道具を展示する。いずれも古びてはいるものの、よく手入れされ、大切に使われてきたことがうかがえる。

 京都の酒どころといえば、伏見を思い浮かべがちだが、松隈勝二館長代理は「昔は京の町中でも数多くの造り酒屋があったそうです」と解説する。中庭には、いまも毎時3トンもの水量を誇る名水「桃の井」がわき出す。「この名水が酒造りを支えてきました。伏見の水よりも、ずっとおいしいですよ」と自慢する。

 清涼な名水を生かし、記念館では、新たに地ビール醸造に取り組み始めた。「町家麦酒醸造所」を併設して、地ビールの製造風景も公開。しぼりたての地ビールを味わえるコーナーも昨年7月から設け、左党にも人気がある。古都情緒豊かな古い町家と京の新しい味。いきな組み合わせだ。


 堀野記念館  京都市中京区堺町通二条上ル。清酒会社のキンシ正宗(伏見区)が開設。見学時間は午前11時―午後5時(地ビールコーナーは午後9時まで)で、月曜と盆、年末年始休館。土産用日本酒の自作ラベルも製作できる。入館料300円。
 電話075(223)2072。

▲観光情報▲ ▲もくじ▲ ▼つぎへ▼