Kyoto Shimbun 1998.12.14「京都・より道スポット」

 島津創業記念資料館

 近代科学発祥の地示す

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大正から昭和初期にかけて製造された医療用X線装置「ダイアナ号」

 京都市の中心部を流れる高瀬川のほとり、木屋町二条辺り。明治時代に建てられた木造2階建ての外観が、近代科学発祥の地としての歴史を今に伝える。

 明治初期、京都府は「新しい産業と教育の振興」を狙いに、理化学研究所である舎密(せいみ)局、勧業場などを次々に設立し、欧米の最新技術と設備を導入した。そんな中、1875(明治8)年に島津製作所の初代島津源蔵が教育用理化学器械の製造の拠点を同地に構えた。

 「科学技術の普及を通じて人類社会に貢献する」。初代の精神は、長男の二代目島津源蔵によって開花した。レントゲン博士がX線を発見した翌年の1896年、X線写真の撮影に成功したのをはじめ、医療用X線装置や蓄電池も開発した。蓄電池は日本電池に引き継がれ現在に至る。バッテリーの「GS」にその名を残している。

 1975年、同社創業100周年を記念し、建物を利用して資料館を開設した。同館では理化学器械、医療用機器、図書、写真などを通して、2人の遺業に触れることができる。日本最古の理化学器械のカタログ、1918(大正7)年製造の医療用X線装置「ダイアナ号」…。また、1世紀前にイギリスから輸入されたパイプオルガンや明治期の幻灯機など、近代科学技術のルーツを探るうえで貴重な資料が展示されている。

 今春から同館に勤務する清水光子さん(23)は「科学、と堅苦しく考えずに、驚きや発見を通して理科に興味を持ってもらいたい」と話す。開設から20余年が過ぎ、現在年間7000人を超す見学者が訪れる。桜井茂男館長は「理系離れが言われているが、理論や数式だけではなく、モノをつくることや創造力を高めてもらえるはず」と若者の来館を期待している。


 島津創業記念資料館  京都市中京区木屋町通二条下ル。1975年に開設。明治から昭和中期の理化学器機など約610点を展示。開館時間は午前9時半〜午後5時。入館料は大人300円、中・高校生200円。休館日は水曜日と年末年始。
 電話 075(255)0980。

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