Kyoto Shimbun 1998.12.26「京都・より道スポット」

 お酒の資料館

 造る・飲む文化を紹介

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酒造りにまつわる古道具が所狭しと並ぶ館内

 観光客や挙式のカップルでにぎわう松尾大社。鳥居をくぐると、左に高さ2メートルほどもある大きな桶(おけ)が迎えてくれる。「お酒の神様」を祭ることで知られる同大社が、酒造道具などを集め、4年前に開設した資料館だ。

 松尾大社と酒のいわれは、聖武天皇の時代にさかのぼるという。松尾の神が社殿裏にわき出た泉の水で酒を造るようお告げを下したことから、酒造りにかかわる人たちがこぞってその水を持ち帰り、信仰を集めるようになった。同大社権禰宜の玉村知昭さんは、「古事記にも、神々が集うのに合わせ、松尾の神が一晩で酒を造ったという話があります」と教えてくれた。

 今でも、醸造シーズン前の11月に行われる上卯祭や、酒の完成を感謝する4月の中酉祭を中心に、一年を通して全国から1000人以上の酒造関係者らが参拝に訪れるという。

 参拝者用休憩所を兼ねた二十畳ほどの広さの館内には、酒造メーカーから寄贈された酒造りの道具がずらり。現在の酒造りでは使われていないものも多い。洗った酒米をいれて麹(こうじ)をつくるための箱や、もろみの入った酒袋に圧力をかけて酒をしぼり出す、長さ3メートルほどの箱型の酒槽(さかぶね)など、約250点が展示されている。櫂(かい)も、醸造過程や用途によって、微妙に形や長さが違って興味深い。

 どの道具にも杜氏(とうじ)たちが、長年愛着持って使ってきた様子がうかがえ、今にもぷーんとお酒の香りが漂ってきそう。

 ほかにも、酒瓶のラベルばかり300枚以上が張られたびょうぶや、名工と言われる陶芸家の作った信楽焼、備前焼、有田焼などのとっくりや杯約100点も展示されている。玉村さんは「造る文化、飲む文化、両方を見ていただければ」と話している。


 お酒の資料館  京都市西京区嵐山宮町。開館時間は午前9時〜午後4時。無休。ひょうたん展やアートフラワー展などの特別展も開催している。入館無料。
 問い合わせは松尾大社 電話 075(871)5016。

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