Kyoto Shimbun 1999.2.2「京都・より道スポット」

 角屋もてなしの文化美術館

 江戸期の揚屋を今に伝える

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接客に使われた道具が並ぶ展示スペース

 狭い小路を通ると、大きな古い建物がある。戦後、建てられた住宅や飲食店が並ぶ周囲の景観を思うと、重厚ですらある。

 1989年から1日30人と限定し、角屋の揚屋建築を公開をしてきたが、さらに多く人に知ってもらおうと、昨年4月にオープンした。「揚屋」とは今でいう料亭や料理屋。太夫や芸妓を呼び、宴会をして客をもてなす。その江戸時代の揚屋をそのまま博物館にし、今に伝える全国でも珍しい施設だ。

 建物は52年に国の重要文化財に指定。その1階を、美術館として公開している。島原俳壇といわれた俳句や和歌の資料が並ぶ。「和歌や俳句の教養がなければ、話もできない。そういう文化的な場所であったわけです」と中川清生理事長。

 土間と畳敷で300平方メートル以上の台所では、鳳凰蒔絵膳碗揃(ほうおうまきえぜんわんぞろえ)など当時使用した碗や皿、猪口(ちょこ)が展示される。また展示スペースでは常設展示以外に、月替わりの企画展も行われている。

 2階は座敷で特別公開。「傷みもあり、今後の保存を考えると仕方ない」(中川理事長)そうだ。階上は行灯(あんどん)風のライトがともり、1階とは趣を変える。

 天井に60枚の扇面を張り合わせた「扇の間」、壁や建具などいたるところに青貝を散りばめた異国風の「青貝の間」、天井や障子が桧垣(ひがき)組から「桧垣の間」…、襖(ふすま)絵のほか、障子の格子一つに至るまで、「もてなす」ため各部屋ごとに細かく工夫を凝らしたことがわかる。

 中川理事長は「誤解が多いが、近世もてなしの文化の場として、島原を再評価する場であってほしい」と話している。


 角屋もてなしの文化美術館  京都市下京区西新屋敷揚屋町。開館は午前10時から午後4時。月曜のほか、8月中と12月16日から1月末までは休館。2階の座敷は要予約。所蔵品は1万1千点で、与謝蕪村筆「紅白梅図屏風」は重要文化財。有料。
 電話075(351)0024。

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