Kyoto Shimbun 1999.1.7「京都・より道スポット」

 京都市嵯峨鳥居本町並み保存館

 明治の雰囲気よみがえる

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町家を明治時代の建築当初のままに伝える保存館

 遅い紅葉を横目で見ながら、愛宕街道を進む。地域のシンボル、「一の鳥居」までの狭い道路の両わきに並ぶ町家のうち1軒。玄関をくぐると、ひんやりとした空気が訪れた人を迎える。

 明治時代初期に建てられた「むしこ造り町家住居様式」の中2階建て住居を保存し、当時の町家文化を伝える。市民や観光客に町並み保全への理解を深めてもらおうと、空き家となって老朽化した町家を京都市が借り上げ改修、93年11月にオープンした。

 「むしこ」は中2階の土塗りのたて格子「虫篭(むしこ)窓」が由来。一階には窓の格子をはじめ、折り畳みベッド風の「ばったり床几(しょうぎ)」、馬をつないだ「駒寄せ」があり、中2階はむしこ窓のほか「煙出し」も備える。

 土間には今も水がわいている井戸があり、関西では「おくどさん」と呼ばれるかまどは、保存にあたり、近代的だったものを建築当時に復元し、明治初期の雰囲気をよみがえらせた。

 居間には、実測調査や地域の古老の聞き取り調査を踏まえて1930年ごろを再現した嵯峨鳥居本地区の模型と、今も残る「一の鳥居と茶店」の精巧な模型を並べた。

 同地区とともに市に「伝統的建造物群保存地区」に指定される産寧坂と祇園新橋、上賀茂のパネル展示もされている。

 「町家は住まいとしては寒く、格子など掃除しにくい。地元の私たちは現代住居の方が住みやすいと思いますが、訪れた観光客の中には『泊まりたい』『住まいにしたい』という人もいます」と受付の山本和子さん(54)。 

 時折、訪れてはばったり床几に腰をかけてお茶を飲む人の姿も。観光客たちには、嵯峨野散策の休憩所としても喜ばれている、という。  


 京都市嵯峨鳥居本町並み保存館  京都市右京区嵯峨鳥居本仙翁町8。市バス「大覚寺」バス停下車、徒歩約20分。月曜日(祝日・振り替え休日の場合は翌日)と年末年始(12月26日〜1月6日)は休館。開館時間は午前10時〜午後4時。入館無料。
 電話075(864)2406

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