Kyoto Shimbun 1998.12.29「京都・より道スポット」

 高台寺掌美術館

 ねねの愛用の品々が並ぶ

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ねね愛用の調度品が並んだ館内。観光客のほか、わざわざ訪れる歴史ファンも多い

 豊臣秀吉の正室・北政所ねねが晩年を過ごした東山区の高台寺塔頭、円徳院境内に、この秋、できたばかり。八坂の塔と清水寺を結ぶしっとりとした石畳の「ねねの道」から円徳院の土塀をくぐり、喫茶店や手作り雑貨の並ぶ店先をのぞきながらあられこぼしの小路をゆくと、ねねゆかりの品を集めたこじんまりとした一室に突き当たる。

 「あまりに小規模なので、『小美術館』にしようかと思ったくらい。掌(たなごころ)にしたのは、『掌中の玉』の意味を込めたんです」と、高台寺の文化財担当執事でもある川本博明館長。

 高台寺やその塔頭寺院が所蔵する文化財、美術品の数々を、130平方メートルほどの空間に並べている。ガラスケースに入れない展示法が、庶民的だったというねねの親しみやすさにつながる。

 織田信長の家臣の家に生まれたねねは、秀吉と結婚。一時は天下人の正妻として華やかだったが、秀吉の没後は居城の大坂城を追い出されて京へ移った。関ヶ原の合戦で徳川方に協力した功績から高台寺を建立、亡夫の菩提をとむらう余生を送ったという。

 開館記念展では、漆黒に金粉を蒔(ま)いて菊花や桐紋を浮かび上がらせた豪華な蒔絵の調度品25点が展示された。ねねが愛用したとされる化粧だんすやたらい、双六盤といった日用品のほか、普段は霊屋に収められている厨子を、内部に安置の秀吉の念持仏とともに飾っている。高台院と秀吉を描いた掛け軸2本も紹介している。

 今年は、ちょうど秀吉の没後400年にあたる。川本館長は「ねねさんは、戦国期を生きた女性の中で一番人気がある人。ここにきて、庶民から出世した彼女の痛快な生き方に思いをはせてもらえれば」と話している。


 高台寺掌美術館  開館記念展「北政所ねね様の小世界」は、99年3月25日まで。12月31日は休館するが、それ以外は原則無休。一般300円、中・高生200円。京都市東山区高台寺下河原町、「京・洛市ねね」内。
 電話 075(561)1414。

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