Kyoto Shimbun 1999.1.28「京都・より道スポット」

 高津古文化会館

 映画の小道具求め行脚

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歴史的価値の高い美術品の数々が定期的に展示される

 「映画が作った美術館ですね」。高津古文化会館の学芸課長雨宮睦子さんは、そう表現する。

 北野天満宮界わいで。時代劇映画初期のころ、古道具屋を営んでいた高津家の隣に、関東大震災で東京から撮影所が移ってきた。小道具貸し出し業・高津商会の始まり、とされる。

 当時、映画の小道具は紙粘土類でできていた。同館館長の高津義家さん(96)は、映画の父と呼ばれた牧野省三から小道具貸しを依頼された。小道具の水準を高めるため、「本物を求め」全国の旧家、古美術商を精力的に行脚した。

 甲冑(かっちゅう)300点、刀剣数千点、仁清、乾山、楽など京焼を含む茶の湯の道具、洛中洛外図など近世初期の風俗画約80点、大名婚礼調度…。

 中でも、鎌倉時代の「甲冑金具」や室町時代の「縹糸威胴丸(はなだいとおどしどうまる)」などは重文に指定された。美術的、歴史的高価な品々の保存を狙いに1975年に誕生したのが同会館だ。

 毎年、春と秋に展覧会を開き、一般に公開している。雨宮さんら学芸員が担当。「蒔絵に遊ぶ」「雛(ひな)の遊び」「香遊びと茶の湯の道具」「大名婚礼調度」など、レベルの高い所蔵品を生かした企画が練られている。

 「近世の初期風俗画の世界」。3年に1度はちりばめられているテーマだ。「東山遊楽図屏風」「遊女と歌舞伎もの」…。桃山末期から江戸初期にかけて、町衆たちが作り上げた文化が生き生きと描かれている。「いろんな階層の人々がくまなく描かれている」(雨宮さん)のが魅力という。 観(み)て楽しんでもらおうと、ストーリーを追うように展示室の2階、3階の空間を演出する。そうして、来館者たちをタイムスリップの世界に誘う。


 高津古文化会館  京都市上京区天神通今出川下ル。春と秋に特別展(午前10時〜午後4時)として、テーマを決めて所蔵品を一般公開している。第1、3土曜と日曜は休館。特別展期間以外の入館(午前9時〜午後5時)は予約が必要。
 電話075(461)8700。

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