Kyoto Shimbun 1999.1.29「京都・より道スポット」

 平安貴族のくらしと文化展示室

 典雅な王朝の世界に誘う

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邸宅の模型や出土品が、平安貴族の生活を物語る

 先端企業など120社が研究所や営業所を置く京都リサーチパーク。モダンなビルに囲まれた中庭に、展示室はある。コンクリートや鏡面で構成された外観は周囲と同じく現代的だが、室内に足を踏み入れると、1000年以上も昔の典雅な貴族の世界が目前に広がる。

 1987年、リサーチパークの建設に先立つ発掘調査で、平安時代(9世紀半ば)の大規模な邸宅跡が見つかった。建物の配置などから「寝殿造りの原形」ともいわれ、研究者や歴史ファンたちの注目を集めた。しかし遺構を保存するのは難しく、次善の策として設けられたのが、概要を伝える展示室だ。

 室内でまず目に付くのは縦3.5メートル、横2.2メートルの巨大な模型だ。見つかった遺構から、往時の邸宅を40分の1サイズで復元した。華やかな貴族の日常が展開される正殿など主要建物のほか、生活を支える炊事場なども建っている。「柱などの素材は、当時の材質に準じています。かなり手の込んだ模型ですよ」。京都リサーチパークの広報担当、開発比差子さんが教えてくれた。

 模型では大きさが実感しにくいが、室内には出土した柱の最下部(柱根)が展示され、ひと抱えもある太さから立派な建物をほうふつさせる。

 このほか、宴会に使ったと思われる青磁や緑釉(りょくゆう)の食器、「志」と墨書された碗(わん)、すずり、土俗信仰を示すといわれる土馬などの出土遺物が並んでいる。

 「枕草子」や「源氏物語」などに記された平安貴族の文化と暮らしの一端を、ビジュアルに伝える展示室。しかし開発さんによると、訪れる人は極めて少ないという。せっかくの模型や展示品が、少しもったいないような気がした。


 平安貴族のくらしと文化展示室  京都市下京区中堂寺南町17、京都リサーチパークの東地区にある。公開は平日の午前9時―午後5時半。入場無料。通常は施錠してあるので、見学希望者はリサーチパーク内の都市管理センター 電話075(322)6833に電話か直接、申し込めばよい。

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