Kyoto Shimbun 1999.3.26「京都・より道スポット」

 社寺建築展示資料館

 宮大工の心意気伝える

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先人の知恵の結晶が並ぶ資料館

 材木の香りが一面に漂う工場を抜け、エレベーターを降りると、陳列棚や床にさまざまな木造模型やかわら、大工道具が並ぶ。

 社寺の建築や修理に携わる京都市南区の会社、奥谷組が一昨年、創業110年を迎え、府から「京の老舗(しにせ)」表彰を受けたことを機に計画。忘れ去られつつある先人の知恵の詰まった日本の伝統工法を残し、それとともに宮大工の心意気を後世に伝えていこうと、昨年5月にオープンさせた。

 資料館は本社ビルの一フロアを改装して設置、社寺建築に関するものが、ところ狭しと置かれる。

 例えば宮大工の「隠し技」といえる継ぎ手や仕口。台形や三角形、長方形を組み合わせ、さまざまな形で部材が抜けない工夫をしていることが、木造模型で一目りょう然。

 「クギなど金具が使えなかった時代。宮大工の試行錯誤したあとがうかがえます」と案内役の同社、沖和典さん(36)。社寺建築が何百年も風雪や地震に耐えてきた理由がここにある。

 また、社寺の屋根の複雑な構造も模型にして展示。普段見ることができない、屋根の裏側をのぞき見ることができる。いずれも同社が社寺建築を修理、調査したときに、残した図面から製作した。

 また恵美須神社(東山区)や東寺(南区)などのともえ瓦の複製、棟上げのときの儀式祭具、祝銭も。のみやかんなのセットもあり、古びているが大事に扱われた道具が、建築にかける宮大工の情熱を物語るかのようだ。

 沖さんは「失われる伝統技法を見てほしい。その上で現在の社寺建築が作られる現場を合わせて見たもらえれば」と話している。

おわり


 社寺建築展示資料館  京都市南区吉祥院向田東町。JR西大路駅から徒歩15分。見学は平日の午前10時から午後4時までの入場(祝日除く)。入場は無料だが、事前に要予約。
 電話075(313)6533。

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