8月にアテネ五輪が開催されるオリンピックイヤーだ。女子長距離の全ての五輪ランナーが走り、飛躍の場としてきた全国都道府県対抗女子駅伝。11日の第22回大会でも、選手や指導者たちがそれぞれの五輪への思いを胸にレースに挑む。




◇再出発のエース

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トラックのエース福士(右端)は2年ぶりの都大路でアテネ五輪に向けて再スタートを切る=西京極補助競技場

強さ取り戻し輝きを

 トラック種目の五輪代表争いは春から始まる。その中心になる3000メートル、5000メートルの日本記録保持者、福士加代子(ワコール)にとって、今回の都大路は故障の影から脱け出し、以前のような爆発的な強さを取り戻す再出発のレースになる。

 福士のランナーとしての進化は3年前、社会人1年目の都大路から始まった。青森県から「ふるさと出場」した第19回大会。有力選手がそろう1区で当時の1万メートルの日本記録保持者、川上優子に4秒差で競り勝ち区間賞を獲得した。「このまま行っちゃえ、と走った」。19歳の強気な走りは、スケールの大きい、未知の可能性を感じさせた。

 その年、全日本実業団で5000、1万メートルの2冠を制すると、京都代表で走った第20回大会では9区の区間賞を奪って優勝のゴールテープを切った。この年の夏には、5000メートルで日本人初の15分突破を果たした。

 だが、アクシデントが待っていた。一昨年12月の全日本実業団駅伝で、後方の選手と接触して転倒、ひざに大けがを負った。復帰後に挑んだ昨年8月の世界選手権は1万メートル11位、5000メートルは予選落ちと、振るわなかった。「もう少しやれたはず」と、言葉少なに振り返る。世界のスピードにどう対抗していくか。だが、まだけがの影響が尾を引いている。「イメージとうまく結びつかない」と、微妙なバランスのずれに歯がゆさを感じている。

 昨年は、入社以来初めて自己最高を更新できなかった。社会人4年目、21歳で初めて味わった挫折と屈辱。それを乗り越えるために「先のことを考える暇はない。その日その日を大切にしたい」と、原点を見つめる。今は「五輪」の言葉もいっさい口にしない。

 都大路の1回、1回のレースが、福士が飛躍するステップになってきた。ワコールの後輩の野田頭美穂とともに青森代表に名を連ねる今回、「楽しくやれたらいいな」と、アンカーでのごぼう抜きに意欲を見せる。永山忠幸監督は「精神的なタフさを身につけ、きっとリベンジしてくれるでしょう」と、新たな一歩に期待を寄せる。

 都大路で快走し、アテネへ。永山監督は「世界に行くだけでなく、戦いたい」と言う。復調への苦闘はなお続いている。かつての勢いを取り戻した時、日本のエースはさらに輝きを増すだろう。「いろいろ経験し、人間として大きくなりました」と、笑顔で振り返る福士の強さが、アテネに向けた挑戦を支える。(おわり)




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