京都新聞:紙面特集

生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲
京都市美術館(特集)

樹花鳥獣図屏風 静岡県立美術館蔵 11月22日~12月4日

緻密に 斬新
奔放な絵心 錦から
百犬図 個人蔵
11月15日~12月4日

果蔬涅槃図(部分)
京都国立博物館蔵
11月15日~12月4日

 息が詰まるほど濃密な着色花鳥画もあれば、斬新なタッチで描かれたモノクロームの世界もあり、写実的かと思いきや、ポップアートのような自由奔放さものぞかせる。そんな多彩な顔を持つ画家伊藤若冲は、自由な精神にあふれた18世紀の京都だからこそ生まれ得たのではないか。4日から京都市美術館(左京区岡崎)で始まる展覧会「生誕300年 若冲の京都 KYOTOの若冲」は、京都との関わりにフォーカスして、若冲ワールドを再構築する。

布袋図 個人蔵

 1716年、錦小路の青物問屋に生まれた若冲は、旅に出ることも少なく、85年の生涯のほとんどを京都で過ごした。ただ、この時期の京都は、居ながらにして最先端の文化や学問に触れられる希有な空間だった。

 少し歩けば、与謝蕪村や円山応挙の住まいがあり、大きな影響を受けた2人の禅僧、相国寺の大典、黄檗宗の売茶翁(ばいさおう)も京に暮らした。人的ネットワークだけではない。禅寺に行けば、画僧が持ち帰った宋元画を模写することができたし、長崎を通じてもたらされた異国の文物や知識は、奇抜な象や珍獣のモチーフにつながった。

 本展では、期間限定の展示も含め120点余りを紹介する。家業への思いを託し、野菜と果物で釈迦の入滅を描いた「果蔬涅槃図(かそねはんず)」(11月15日~12月4日)や、西陣織の設計図「正絵(しょうえ)」に着想を得たとされる「樹花鳥獣図屏風」(11月22日~12月4日)などの著名な作品に加え、個人蔵の水墨画や、黒と白のコントラストが際立つ拓版画、軽快なタッチの人物画も並ぶ。

 生誕300年・若冲イヤーの今年、全国各地で展覧会やイベントの開催に沸いた。京都では、今に続くブームのきっかけを作った美術史家狩野博幸さんの監修で「原点回帰」を試みる。

玄圃瑶華(部分) 個人蔵
■会  期10月4日(火)~12月4日(日) 月曜休館(10月10日は開館)
■開館時間午前9時~午後5時、10月8日と9日は午後7時まで(入場は閉館30分前まで)
■会  場京都市美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
■主  催京都市美術館(京都市)、MBS、京都新聞
■入 場 料一般1200円(1000円)、大学・高校生1000円(800円)、中・小学生500円(300円)。かっこ内は20人以上の団体。障害者手帳持参の人と同伴者1人は無料。中・小学生は土日祝日無料
■記念講演会10月8日「若冲にとって京都とは何か(1)」狩野博幸さん(美術史家、本展監修者) 11月3日「東西の百鳥獣図―同時代の西洋動物画を通して若冲を見る―」潮江宏三・市美術館長 11月12日「若冲にとって京都とは何か(2)」狩野博幸さん いずれも午後2時~3時半、同館講演室。定員80人。展覧会の半券が必要。各日午後1時から整理券配布
■問い合わせ展覧会事務局TEL06(4950)7555
象と鯨図屏風 MIHO MUSEUM蔵 11月8日~20日
                    
【2016年10月3日付京都新聞朝刊掲載】