京都新聞:紙面特集

特別展「地獄絵ワンダーランド」
龍谷大龍谷ミュージアム(特集)

生前、悪をはたらくと…

「熊野観心十界曼荼羅」(部分)江戸時代 展示=9月23日~10月15日

あの世へようこそ

 地獄といえば、罪を犯した人々が死後、苛烈(かれつ)な責め苦を受ける場所だけど、この展覧会ではちょっと違う。閻魔(えんま)は人がよさそうだし、罪人たちはなんだか楽しそう、鬼たちはゆるくてかわいい。中世の絵巻から現代のマンガまで魅力あふれる「地獄」を集めた特別展「地獄絵ワンダーランド」が23日、龍谷大龍谷ミュージアムで始まる。

 平安時代の源信が著した「往生要集」以後、人々の来世への思いは切実になる一方、地獄への恐れは強まる。初期の地獄図は、恐怖と不安に突き落とす。しかし、極楽へ憧れが募るほど、地獄をのぞきたいと興味が湧くのも人情。庶民向けに分かりやすく、親しみやすく、そして少し変な絵も生まれてきた。同展はテーマパーク「地獄」を描いた絵巻、木像、浮世絵、漫画など計88件を紹介する。

くつろぐ奪衣婆と踏み台閻魔

河鍋暁斎「閻魔・奪衣婆図」 明治時代 林原美術館蔵
展示=10月17日~11月12日

 地獄では、うそをついた人が舌を抜かれ、浮気した人が蛇で巻かれ、溶かした銅をお尻の穴から流し込まれるなど多彩な拷問が繰り広げられる。中国から伝わった初期の「六道絵」をはじめ、凄惨(せいさん)な場面を表した図様や彫刻で、まず地獄の基礎知識を学ぶ。

 地獄イメージは徐々に豊かで身近に。「熊野観心十界曼荼羅」は、あの世とこの世の要素を詰め込んだ優品。冥界のスター勢ぞろいといった木喰の木像や、漫画っぽい白隠の「地獄極楽変相図」などは、細かい所までツッコミどころが満載だ。特に、日本民藝館蔵「十王図」はおおらかな描線で素朴さが秀逸。浮気男は蛇とじゃれているようだし、血の池の女はプールで泳いでいるようで、のどかな感じだ。

 自身を信心する男の身代わりに地獄へ来てしまった不動明王と、“著名人”の来場に恐縮する閻魔を描いた絵巻のほか、幕末の河鍋暁斎、現代の水木しげるの作品も登場する。最後はやっぱり極楽に行きたい人向けに、浄土の名作も用意している。それでは、地獄ツアーへでかけよう。





閻魔いろいろ

「十王図」(部分)江戸時代 日本民藝館蔵
展示=9月23日~10月15日
白隠「地獄極楽変相図」江戸時代 静岡・清梵寺蔵
展示=9月23日~10月15日
「水木少年とのんのんばあ地獄めぐり」より「閻魔大王」(C)水木プロダクション

冥界のオールスター

木喰明満「木造十王坐像・葬頭河婆坐像・白鬼立像」
江戸時代 兵庫・東光寺蔵
案内
■会期 9月23日(土・祝)~11月12日(日) 月曜休館 祝日の場合は開館、翌日休館 展示替えあり
■開館時間 午前10時~午後5時 (入館は午後4時半まで)
■会場 龍谷大龍谷ミュージアム(京都市下京区堀川通正面下ル)
■主催龍谷大龍谷ミュージアム 産経新聞社 NHK京都放送局 NHKプラネット近畿 京都新聞
■入館料 一般1200円(1000円)、大学・高校生800円(600円)、中・小学生400円(300円) かっこ内は20人以上の団体
■関連イベント▽「地獄絵ワンダーランドへの道」=10月1日午後1時半、龍谷大大宮学舎清和館3階ホール。講師は矢島新氏(跡見学園女子大教授) 無料。先着100人。要観覧券。事前申し込みが必要。
▽プレミアムナイト企画「地獄絵 絵解き×音解き×美解き-今夜は地獄へ行かナイト」 9日午後5時半、西山克氏(関西学院大教授)の解説と「組曲六道」の影絵付き演奏が、同大宮学舎本館講堂で開かれ、同展の夜展覧も行われる。参加は2000円(観覧券付き)。先着100人。事前申し込みが必要。問い合わせは同ミュージアム075(351)2500。
【2017年9月19日付京都新聞朝刊掲載】