京都新聞:紙面特集

ウッドワン美術館コレクション
絵画の愉しみ、画家のたくらみ-日本近代絵画との出会い
京都文化博物館

 比べてみれば見えてくる

岸田劉生「毛糸肩掛せる麗子肖像」 1920年

 日本近代の巨匠たちの絵画を分かりやすい解説を通して紹介する展覧会「ウッドワン美術館コレクション 絵画の愉(たの)しみ、画家のたくらみ-日本近代絵画との出会い」が10月3日、京都文化博物館で開幕する。画家は何を描いたのか? 絵画の主題を軸にして、名作を楽しく読み解いていく。

 ウッドワン美術館は、広島県の住宅建材メーカーが近代日本画・洋画を中心とする所蔵美術品約1000点を公開するため、1996年に開館した。この中から精選した優品約90点を展示する。

 同展は、歴史、ヌード、女性、群像、富士山、風景、動植物というモチーフごとに章立て。主題を巡って工夫を凝らし、豊かな創意を凝縮した作品について、細かい表現の違いや画家自身の変化を探るヒント、コツを紹介し、より深く楽しめる仕掛けを試みる。

 例えば、比べてみることで、浮かび上がってくるものがある。数多くの「麗子像」を手がけた岸田劉生なら、数え7歳の麗子を描いた油彩「毛糸肩掛せる麗子肖像」と、3歳時の水彩「麗子像(林檎(りんご)を持てる麗子)」。この4年がどうつながるか。娘の成長と、それを見つめる画家のまなざし、対象への迫り方などさまざま要素が読み取れる。

 また、同じ雪の中にいる美人でも、上村松園は吹雪の中での人物の動き、鏑木清方ははだしで歩く人の体感が伝わる。梅原龍三郎や横山大観ら5人の大家の「富士山」は、同じ霊峰でも画家の筆を通せば、見え方が違ってくる。熊谷守一が描いた2点の「裸婦」、浅井忠は欧州留学前後の風景画も見比べる。ブラジルの大地を、一つの概念として象徴化した藤田嗣治「大地」など群像表現も画家によって個性的だ。

 アートの初心者からベテランのファンまで、多様な入り口から名画の世界へ誘う。

上村松園「舞仕度」 1914年
速水御舟「荒海」 1915年
岸田劉生「麗子像(林檎を持てる麗子)」 1917年
黒田清輝「木かげ」 1898年
案内
■会     期10月3日(火)~12月3日(日) 月曜休館(祝日の場合は開館、翌日休館)
■開 室 時 間午前10時~午後6時 金曜日は午後7時半まで(入場は閉場各30分前まで)
■会     場京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)
■主     催京都府、京都文化博物館、京都新聞、日本経済新聞社
■入  場  料一般1300円(1100円)大学・高校生900円(700円)中・小学生400円(300円)
かっこ内は20人以上の団体 障害者手帳提示の人と付き添い1人は無料。
■関連イベント ▽講演会「日本近代絵画の愉しみ」=10月14日午前10時半、講師は植田彩芳子氏(同館学芸員)。
▽特別講演会「日本美術とヌード」=10月21日午前10時半、宮下規久朗氏(神戸大教授)。
いずれも、同館3階フィルムシアター。定員170人。要申し込み。参加無料(要入場券)
▽「桂そうばのアート・トーク×落語」=11月11日午後2時、出演は桂そうば。聞き手は植田彩芳子学芸員。参加費は1000円。同展入場券が必要。
■問い合わせ京都文化博物館075(222)0888