京都新聞:紙面特集

京都市美術館所蔵品展 描かれた“きもの美人”
美術館「えき」KYOTO(特集)

はんなり艶やか

上村松園「春光」(部分) 昭和初期
写真はすべて京都市美術館蔵

 「京都市美術館所蔵品展 描かれた“きもの美人”」が2日、美術館「えき」KYOTOで開幕する。明治から昭和にかけて京都画壇の画家たちが描いた女性は、流行を反映した着物、ファッション、空気を身にまとい、伝統的な暮らし、モダンな都市生活を生き生きと彩ったまちの華だ。40点余りの「きもの美人」たちを通し、京都の豊かな文化、人々の息づかいが伝わってくる。

 市美術館は1933(昭和8)年の誕生以来、京都のまちに育まれた近現代の日本画、洋画、彫刻、工芸、書、版画など計約3400点を収集してきた。現在、2019年度中のリニューアルオープンに向けて再整備工事が行われている。

菊池契月「散策」
1934(昭和9)年
丹羽阿樹子「ゴルフ」 昭和初期

 所蔵品の中核をなすのは、日本美術史でもひときわ光彩を放つ明治以降の京都の日本画家たち「京都画壇」の作品群だ。優美であでやかに、しとやかに振る舞う芸舞妓、モダンでかっこよく、軽やかに装う少女、市井のつましさ、生活感がにじむ働く人、能動的に意思を持った新しい女性たち。多くの名作を着物の女性たちが飾る。

中村大三郎「女人像」 1934(昭和9)年
堂本印象「婦女」 1948(昭和23)年

 女性画家が増える近代は、女性目線の女性像も多い。上村松園「春光」は、赤と緑の鹿の子絞りの着物姿の町娘を描く。空色の振り袖が春風をはらんで揺れ、振り返る視線の先に白いチョウが舞う。春の訪れの喜び、娘の生命感が、清澄な色彩を通して重なる。婚礼に向かう女性の横顔が印象深い明治期の「人生の花」も出品される。

 大正デモクラシーを時代背景にした大正期は、太夫や舞妓、白川女が陰影の強い濃厚なタッチで描かれる。一方で、流行の最先端をゆくモダンガールも現れる。絵画の中に、着物姿でゴルフを楽しんだり、短髪ファッションで洋犬と散歩したり、望遠鏡をのぞいたり、昭和の初めにかけて発展した都市生活の様相が浮かび上がる。また、戦時中の女性像も。田代正子「戦捷(せんしょう)便り」は戦地から届いた軍事郵便がテーマ。無事を知って、ほっとした表情に女性の内面が透ける。

 友禅に洋画的要素を取り入れた皆川月華の鮮やかな青地に大輪のバラを描いた逸品など絵から抜け出たような着物作品も紹介する。

皆川月華「社交服 薫園遊禽之図」
昭和初期
秋野不矩「紅裳」 1938(昭和13)年
海老名正夫「出を待つ」 1979(昭和54)年
案内
■会  期1月2日(火)~21日(日) 会期中無休
■開館時間午前10時~午後8時 入館は閉館30分前まで
■会  場美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
■主  催美術館「えき」KYOTO、京都市、京都新聞
■入 館 料一般900円(700円)大学・高校生700円(500円)中学・小学生500円(300円) ※かっこ内は前売および障害者手帳提示の人と同伴者1人
■ギャラリートーク1月6日=潮江宏三氏(京都市美術館長)▽7、8日=市田ひろみ氏(服飾評論家)▽14日=後藤結美子氏(市美術館学芸員)▽15日=山田諭氏(市美術館学芸課長) 各日午前11時から(15日のみ午後2時から)会場で。入館券が必要
※着物で入館の先着100人にオリジナル絵はがきをプレゼント
【2017年12月28日付京都新聞朝刊掲載】