京都新聞:紙面特集

湖東焼 珠玉の美
滋賀県立陶芸の森 特別展(特集)

すご腕の絵付師、鳴鳳が手掛けた「金襴手春夜宴桃李園序図鉢」。口径は16.4センチ=江戸時代後期、個人蔵
170点 歴史たどる

 江戸時代の城下町・彦根で花開き、優れた陶工や絵付師によって数々の名品が生み出された湖東焼。約170点の展示品を通じて、その全容を紹介する滋賀県立陶芸の森(甲賀市信楽町)の特別展「珠玉の湖東焼」が10月1日から開催される。

 1829(文政12)年に城下の商人・絹屋半兵衛らが開窯したことに始まる湖東焼は、12代藩主・井伊直亮(なおあき)の治世の42(天保13)年に彦根藩に召し上げられ、藩窯(御用窯)となる。茶の湯をたしなみ、自らも作陶したことで知られる13代藩主・直弼のころに黄金期を迎えた。

 瀬戸、九谷、京焼、有田などから陶工を招いて高級品生産を目指し、若手の育成にも力を注いだ。とくに客分待遇で招かれた鳴鳳(めいほう)、幸斎(こうさい)をはじめ、すご腕の絵付師たちが活躍し、繊細で華やかなやきものを作った。

 江戸時代後期は各藩の殖産興業を背景に、各地に陶磁器窯が開かれた。その中でも湖東焼は特に優品を焼いたことで知られる。しかし直弼の死、廃藩置県を経て衰退の道をたどる。再び民窯に払い下げになり、1895(明治28)年に廃窯となった。その後、再興を目指して「圓山湖東」「長浜湖東」が短い期間ながら開かれた。

絹屋半兵衛の時代の「染付紫陽花図水指」=1837(天保8)年、個人蔵
直弼が藩主となり、黄金期を迎えたころの「色絵鳳凰文鉢」=江戸時代後期、彦根城博物館蔵(井伊家伝来資料)
鳴鳳の手による「色絵金銀彩葵神事図鉢」=江戸時代後期、個人蔵
絵付師の自然斎(じねんさい)が近江八景を描いた「赤絵金彩染付近江八景図三宝形蓋置」=江戸時代後期、個人蔵

 特別展は「湖東焼 誕生」「黄金時代の湖東焼」「Bravo(ブラボー)!絵付師」「湖東焼の茶道具」「蒐集(しゅうしゅう)された湖東焼」「圓山湖東焼と長浜湖東焼」の6章で構成する。担当学芸員が現代の目で見て「かわいい」器を集めたコーナーや、彦根のご当地キャラクター「ひこにゃん」を招いた関連行事もあり、湖東焼の魅力を堪能できる。

会期中の行事
【ギャラリートーク】
 10月23日、11月20日。時間はいずれも午後1時半から。
【一般向け体験講座】
 (1)11月20日「美しき豆皿をつくる」
 (2)12月4日「正月を祝う華やかなうつわを上絵付けする」
 いずれも時間は午前10時半~午後4時、事前申し込みが必要。
【子ども向け体験講座】
 (1)11月12日午後1時~4時「湖東焼の世界をアレンジ・華やぐツリーづくり」
 (2)11月23日午後0時半~3時半「青色(染付)で大好きな動物づくり」
 いずれも事前申し込みが必要。
【「ひこにゃん珠玉の湖東焼展を鑑賞する」】
 11月23日
 (1)午前11時10分~11時半
 (2)午後0時50分~1時10分
 甲賀の「にんじゃえもん」と信楽の「ぽんぽこちゃん」が迎える。申し込み不要、入館券必要。
案内
■会期10月1日(土)~12月11日(日) 月曜休館。
※10月1日~23日のまちなか芸術祭期間中は無休。
■開館時間午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)
■会場滋賀県立陶芸の森 陶芸館展示室(甲賀市信楽町勅旨)
TEL0748(83)0909。
■入館料一般700円(560円)、高校・大学生500円(400円)、
中学生以下無料 ※かっこ内は20人以上の団体料金
■主催滋賀県立陶芸の森、京都新聞
自然斎による「赤絵金彩狸置物」=江戸時代後期、個人蔵
珍しいカニの形をした「褐釉蟹形蓋物」=江戸時代後期、東京芸術大蔵
「かわいい湖東焼」コーナーで紹介される「色絵鶴亀松竹梅図水指」。内側にはカメが描かれている=江戸時代後期、彦根藩湖東焼たねや美濠美術館蔵
【2016年9月20日付京都新聞朝刊掲載】