京都新聞:紙面特集

ゴールドマン コレクション これぞ暁斎! 世界が認めたその画力
美術館「えき」KYOTO

 異界 にぎやか

名鏡倭魂 新板 1874(明治7)年 大判錦絵三枚続

 妖怪は楽しげに集い、骸骨(がいこつ)は三味線を爪弾き、鬼と鍾馗(しょうき)は仲良く戯れる。男も女も、もののけも獣も、神も仏も。この世の生と死を謳歌(おうか)する者たちを縦横無尽に描いた幕末明治の絵師河鍋暁斎(きょうさい)(1831~89年)の世界を紹介する展覧会が10日、京都市下京区の美術館「えき」KYOTOで開幕する。

 暁斎は7歳で浮世絵師歌川国芳に入門、狩野派にも学び、仏画から戯画までなんでも手がけた。反骨精神にあふれ、ユーモアと諧謔(かいぎゃく)を交えたケレン味たっぷりな描写で評判を呼んだ。イギリス在住の画商イスラエル・ゴールドマン氏は、手放した暁斎の小品が忘れられず取り戻したのをきっかけにコレクターに。35年以上にわたって集めた肉筆画や錦絵、絵日記、春画まで計約180点を通じて圧倒的な画力を浮き彫りにする。

 明治当時の外国人たちに人気を誇ったカラスの軸、写生の技が光る動物画、擬人化された生き物がまるで人間界のように振る舞う錦絵などは、鋭い観察力と確かな筆の力がうかがえる。

 幕末から明治へ大きく時の歯車が動く中、暁斎は冷静に時代を見つめている。肉筆で、蒸気船の煙突を眺める西洋人たち、サムライと異人を描き、絵日記は文明開化の生活風俗を記録する。一方、版画では漫画のように劇的で過激な表現で楽しませる。

 鍾馗、七福神、風神雷神らのキャラクターも暁斎の手にかかれば、愛らしくコミカルに、またヒーローのようにりりしく変身する。骸骨と踊り狂う一休和尚、群れ歩く百鬼、幽霊など異界はにぎやかで、対照的に観音やだるまに込めた祈りの世界は静謐(せいひつ)。「笑い絵」と呼ばれた春画は、あきれるほど陽気。奇想天外な暁斎ワールドが炸裂する。

地獄太夫と一休
1871~89(明治4~22)年
絹本着彩、金泥
龍頭観音
1886(明治19)年
絹本着彩、金泥
幽霊図
1868~70(慶応4/明治元~3)年ごろ
絹本淡彩、金泥
松茸の絵を見るお福たち
1885~89(明治18~22)年 紙本着彩
百鬼夜行図屏風 1871~89(明治4~22)年 紙本着彩、金砂子
※本展は一部、春画作品が出品されます。
※すべて作者は河鍋暁斎、所蔵はイスラエル・ゴールドマン コレクション Israel Goldman Collection, London Photo:立命館大学アート・リサーチセンター
案内
■会     期6月10日(土)~7月23日(日) 会期中無休
■開 館 時 間午前10時~午後8時(入館は閉館30分前まで)
■会     場美術館「えき」KYOTO(京都市下京区、ジェイアール京都伊勢丹7階隣接)
■入  場  料一般1000円(800円)大学・高校生800円(600円)中学・小学生600円(400円)
※かっこ内は前売および障害者手帳提示の人と同伴者1人。
■主     催美術館「えき」KYOTO 関西テレビ放送 京都新聞
■講  演  会ギャラリー・レクチャー=6月10日午前11時、午後2時。講師は及川茂氏(本展監修者、日本女子大学名誉教授)
ギャラリー・トーク=6月12、19日、7月10日。各日午前11時から。解説は同館学芸員。いずれも同会場で。同展入館券が必要。