京都新聞:紙面特集

パリ・マグナム写真展
京都文化博物館

 記録を超えた芸術
パリ、2003年 クリストファー・アンダーソン (c)Christopher Anderson / Magnum Photos

 世界最高の写真家集団といわれるマグナム・フォトの創立70周年を記念した「パリ・マグナム写真展」が7月1日から、京都文化博物館(京都市中京区)で始まる。60万点におよぶ所属写真家の作品から、パリにまつわる131点を厳選し、卓越した写真表現の魅力に迫る。

 マグナム・フォトは第2次世界大戦直後の1947年、ロバート・キャパ(ハンガリー)が発案し、アンリ・カルティエ=ブレッソン(フランス)、ジョージ・ロジャー(英国)、デビッド・シーモア(ポーランド)らの写真家が結成した。写真家の意向を無視したトリミングや不正確なキャプション(説明文)を防ぎ、写真家の権利を擁護するのが狙いで、会員である写真家が出資してニューヨークとパリに事務所を設けた。

 マグナム・フォトの写真家たちは数々の名言を残している。いわく「真実が最高の写真である。それは最高のプロパガンダでもある」(キャパ)。「私は写真自体に興味はない。ただ現実の中の一瞬を捉えたいだけだ」(ブレッソン)。「私の写真の全作品はセルフポートレートである」(ブルース・デビッドソン)。

 スペイン内乱中に撮影した「崩れ落ちる兵士」で有名なキャパを筆頭に、彼らは戦争、内乱、革命など時代の最前線に立って歴史を記録してきたジャーナリストだが、何げない街の様子や、市民の日常を何年も密着して撮り続ける側面も持つ。撮影対象が何であっても、写真家の視点を強く主張することで、記録を超えた芸術へと写真の価値を高めてきた。マグナム・フォトには現在、正会員、準会員を含め50人余が所属し、日本を含む世界各国で活動している。

 今回は2014年12月から翌年4月までパリ市庁舎で開催され大きな反響を呼んだ展覧会を、創立70周年を記念して海外巡回している。マグナム設立前の1932年から現在までを5期に分け、パリの街並みや市民の生活を活写した作品を展示。ナチスからの解放、戦後の復興、ミニスカートの流行、ヌーベルバーグなど80年にわたるパリの変遷をたどる。マグナムの写真家たちは、時代のどこに焦点を合わせ、何を伝えたかったのか。豊かな表現力とユニークな視点を確かめてほしい。

パリ、1996年 ゲオルギィ・ピンカソフ (c)Gueorgui Pinkhassov/Magnum Photos

ヨーロッパ広場 サン・ラザール駅 1932年 アンリ・カルティエ=ブレッソン
(C)Henri Cartier-Bresson / Magnum Photos

パリ、2012年 マーティン・パー (C)Martin Parr / Magnum Photos

初日の7月1日にはマグナム・フォト東京支社の小川潤子氏による講演「マグナム70年の歩み」、8月11日には写真家の平間至氏によるトークイベントがある。いずれも先着160人(要申込)。

また、京都文化博物館3階総合展示室では「近代京都へのまなざし―写真にみる都の姿―」(マグナム写真展入場券で入場可)を同時開催している。


■会期7月1日(土)~9月18日(月・祝)休館日は月曜日(祝日の場合は開館、翌日休館)、7月24日は臨時開館
■開館時間午前10時~午後6時(毎週金曜日は午後7時半まで開館)入場は閉室30分前
■会場京都文化博物館4階特別展示室 (京都市中京区三条高倉)
■主催京都府、京都文化博物館、京都新聞
■特別協力マグナム・フォト
■入場料一般千円(800円)、高校大学生600円(400円)、小中学生300円(300円)カッコ内は前売り、20人以上の団体料金
■問い合わせ京都文化博物館075(222)0888


パリ、1949年 エリオット・アーウィット (c)Elliott Erwitt / Magnum Photos
凱旋門 1952年 ロバート・キャパ (c)Robert Capa / International Center of Photography / Magnum Photos
タイム・ライフ社から見たコンコルド広場 1952年 ロバート・キャパ (c)Robert Capa/ International Center of Photography / Magnum Photos